話題

希望を持って前を向く
~「難病」と闘う患者や家族~

左から主治医の遠藤仁氏、酒井勝利さん、妻の秀子さん

左から主治医の遠藤仁氏、酒井勝利さん、妻の秀子さん

 ◇妻の支え

 「半日、1日かがりで私の治療やリハビリに付き合ってくれた妻や家族の方が大変だったのではないか」と酒井さん。酒井さんを支える妻の秀子さんは「リハビリ施設は遠方だったが、週に1回なので何とかなった。一番大変なのは塩分管理だった」と話す。レシピの本を読み、減塩食に取り組んだ。しかし、長く続けると気が緩むことがある。

 「足がむくんだり、呼吸が苦しくなったりと心不全の症状が出て2回、慶応大学病院を受診した。心アミロイドーシスは塩分制限が大切だと痛感した」

 ◇大事な他科との連携

 以前はこの病気の診断には組織の生検が必要だったが、骨シンチグラフィーという画像検査で患者の体に負担をかけることなく診断ができるようになった。その有用性を指摘する遠藤講師は同時に、循環器内科と他科の連携の重要性を強調する。例えば、手根管症候群は心アミロイドーシスの5~9年前に発症する。整形外科から手根管症候群の患者を紹介してもらえれば、心肥大・心不全の早期診断につながる。慶応大学病院では、それぞれの科に窓口となる医師を置く体制を整えている。

 ◇延びる予後

 「進行を遅らせる薬もあり、患者の予後は延びている。予後5年はかなり昔の情報だ。一般の人の理解を深めるため、メディアには正確で最新の情報を発信してもらいたい」

 ウオーキングやストレッチ体操など日々、運動の努力を続ける酒井さんは「心アミロイドーシスは影が薄い存在だ。どうか日の当たる場所に連れ出してほしい。希少疾病を多くの人に知ってもらいたい」と力を込めた。(鈴木豊)

  • 1
  • 2

【関連記事】


新着トピックス