乳幼児も使える新薬で効果
~アトピー性皮膚炎(国立病院機構三重病院 長尾みづほ臨床研究部長)~
かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返すアトピー性皮膚炎。従来の治療は塗り薬が中心だったが、近年、生物学的製剤の注射や経口の「JAK阻害薬」といった薬物療法が登場し、昨秋から乳幼児にも投与可能になり治療の幅が広がった。国立病院機構三重病院(津市)小児科の長尾みづほ臨床研究部長に聞いた。
子どものアトピー性皮膚炎
◇乳幼児期の治療効果大
アレルギーになりやすい子どもは、乳児期早期にアトピー性皮膚炎を発症し、その後食物アレルギーやアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなど次々にかかる「アレルギーマーチ」をたどることがある。
長尾部長によれば、乳児期は塗り薬の使用だけでも治療効果が高い。しかし、幼児期以降は活動範囲が広がり、汗や日焼けといった悪化因子を完全に取り除くことが難しく、塗り薬のみでは増悪を繰り返すケースがある。
◇塗り薬は適量を
アトピー性皮膚炎治療の基本は〔1〕ステロイドなどの外用薬を用いる薬物療法〔2〕皮膚の汚れを落とし、保湿するスキンケア〔3〕部屋の掃除、服装の工夫など―の三つ。
特に薬物療法については、「患者の中には塗り薬のステロイドに抵抗感を持ち、少量を薄く塗る人がいますが、効果が十分に得られません。適量をきちんと塗ることが大切です」と注意を促す。
◇諦めることはない
2018年にアトピー性皮膚炎に適応がある生物学的製剤としてデュピルマブが承認されて以降、現在複数の新薬が承認され、既存の治療ではコントロール困難な患者に大きな変化をもたらしている。デュピルマブはこれまで思春期または成人への適応のみだったが、昨年9月に生後6カ月以上も可能となった。
「アトピー性皮膚炎は湿疹やかゆみだけにとどまらず、睡眠障害や多動傾向、頭痛などと関連することがあります。新薬の登場で、アトピー性皮膚炎は諦めなくてよい疾患になりました。困った症状が続くときは、専門の医師に相談してください」と長尾部長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/17 05:00)
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