治療・予防

げっぷで生活に支障
~成人の1.5%(大阪公立大学医学部付属病院 藤原靖弘教授)~

 げっぷは生理現象の一つだが、週4日以上煩わしいげっぷが続く場合は「げっぷ障害」と医学的に定義され、病気のサインの可能性もある。

 大阪公立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)消化器内科の藤原靖弘教授らが、成人1万人を対象に実施したウェブ調査では、100人に1~2人がげっぷ障害を抱えていることが分かった。藤原教授は「日常生活に支障が出ていても、医療機関を受診していない人は多いと考えられます」と話す。

病気の症状でげっぷが出る場合も

病気の症状でげっぷが出る場合も

 胃食道逆流症でも

 げっぷは、胃や食道から空気が逆流して口から出る現象で、一般的に食事と一緒に飲み込んだ空気が胃の上部にたまったり、炭酸飲料を飲んだりした後に起こりやすい。「げっぷは本来、生理現象の一つですが、胃食道逆流症や機能性ディスペプシアなど消化管疾患の症状としても起こり得ます」

 胃食道逆流症は、胃酸が食道に逆流する病気だ。内視鏡で食道に炎症が見られるケースもあり(逆流性食道炎)、胸焼けや食道からの出血の他、食道が狭くなるなどの症状が出る。「胃酸とともに空気が逆流してげっぷが出やすくなる場合があり、治療によって症状の改善が期待できます」

 機能性ディスペプシアは、内視鏡検査で病変が確認されないにもかかわらず、胃痛や食後のおなかの張り、早期満腹感の他、げっぷもよく見られる。

 「日常生活に支障があるげっぷは、本人にとって深刻な症状です。げっぷ障害の頻度は国際的な調査では成人の約1%とされていましたが、国内の実態は不明でした」

 ◇かむ回数も影響か

 藤原教授らは2023年4~5月、国内の一般成人1万人を対象に、げっぷ障害の有無や持病、生活習慣についてウェブ調査を実施した。

 解析の結果、151人(1.5%)がげっぷ障害に該当。げっぷ障害がない9849人(平均年齢50歳)に比べて、げっぷ障害がある151人(同48歳)では胃食道逆流症や機能性ディスペプシアを患っている人が多かった。また、げっぷ障害の人には満腹まで食べる人、1回飲み込むときのそしゃく回数が10回未満と少ない人、逆に30回以上と非常に多い人が多かった。

 さらに、げっぷ障害は健康関連の生活の質を低下させることも明らかになった。

 藤原教授は「他に消化器症状がないが、げっぷが多い人は、食べる量や速さを調整すると改善する可能性も考えられます。一方、げっぷが頻繁に出て困る人は我慢せずに消化器内科への受診を勧めます」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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