インタビュー

海外旅行の感染症に注意=事前に情報収集を-吉田正樹医師

 ◇蚊に刺されない

 感染症の経路はさまざまだ。食べ物や飲料水が原因となるケース、けが、蚊や動物が媒介するケース、河川などで皮膚から感染するケースもある。

 中でも警戒が必要なのが、蚊だ。「たかが蚊」と軽視する傾向もあるが、2014年に日本国内での感染が確認され騒ぎになったデング熱や、高熱を発して生命の危機に陥ることもあるマラリアなど蚊が媒介する感染症は多い。さらに、リゾート地や都市部のホテルなどにも生息しているから注意が必要だ。

 マラリアについては内服の予防薬がある。旅行に出掛ける前に医療機関で処方してもらうことができる。また、目的地が都会だからいって油断はしないこと。皮膚の露出を減らすために長袖のシャツや長ズボンを着用する。日本で使い慣れたものでよいので露出する皮膚には防虫スプレーを塗布する。スプレーの液は汗をかくと流れるので、こまめに使いたい。「とにかく蚊に刺されないような対策を取ることが大事だ」と吉田教授は言う。

 ホテルの部屋に蚊が出没することもある。そんな場合やテントに泊まるなどアウトドアの場面に備えて、蚊取り線香を持参することも有効な対策だ。

 ◇冷めた料理、生水避ける

 アジアやアフリカなどの衛生面での不安が残る国では、食べ物や飲み物を介して感染するA型肝炎や赤痢、腸チフスコレラなどの消化器感染症を警戒する必要がある。食事は十分に加熱された物を早めに食べること。火が通っている料理でも冷めると、ウイルスや細菌が繁殖する可能性もある。生水を飲むのは避ける。盲点となっているのが氷で、汚染された水で作られていると、飲料の中に溶け出す時に細菌やウイルスが出て来る。

 「果物は皮が丸ごとついているものは、比較的安全と考えてよいだろう。しかし、カットフルーツや皮をむいた果物は汚染されている恐れがある。生野菜についても、洗浄する水が汚染されていれば危険だ」

ひしゃくを使って蚊の幼虫の捕獲調査をする担当者ら(2016年4月18日、東京都渋谷区の代々木公園)

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