女性アスリート健康支援委員会 思春期の運動性無月経を考える

アスリートに多い摂食障害
女子選手の健康問題、予防と早めの対応を


 ◇糖質が不足しがちな食行動

 公認スポーツ栄養士の小清水孝子・大妻女子大教授は、エネルギー不足に陥る女性アスリートの食行動の一端を紹介し、注意を促した。強化期間で運動量が増えたのに食べる量が追い付かない、競技パフォーマンス向上のため過度に減量する、といったケースが問題になるという。

 シンポジウムで総合討論に参加した小清水孝子・大妻女子大教授(中央)ら
 小清水教授は「日常的に極端な小食が長期間続いた場合、ある日突然、体重が減らなくなる。体重が減らないから、もっと食事を減らそうという負のスパイラルに陥り、選手引退までいってしまう選手もいる。極端な小食は早めに抜け出すことが大切」と話した。

 栄養の偏りも目立ち、今の選手たちはご飯やパン、麺類など炭水化物の摂取を控えることが多いという。エネルギー源となる糖質は不足しがちだ。

 「肉や卵を食べても、とにかく糖質を嫌がる。ゼロキロカロリーとうたう食品は好きだが、ご飯は食べない選手は要注意」「極端な例では、おにぎり1個とポテトチップス1袋があると、重量が軽いからとポテトを食べてしまう選手もいる」などと実情の一端を明かした。

 シンポジウムの総合討論
 小清水教授は「ほとんどの選手は食事量が少ないので、まずは摂取量を把握して、ご飯やパンを食べることから始め、その上で、おかずや野菜も食べる基本的な食事に」と、栄養士として取る対応の流れを説明。「いきなり300キロカロリーから600キロカロリーを増やせと求めるのは厳しいので、本当はおにぎり三つ食べてほしいけれど、まずは一つから、といった感じで、手探りでやっている」と述べた。

 エネルギー不足を予防するためには、スポーツ医・科学の専門スタッフと栄養士が連携し、定期的に食事やトレーニング、体組成や骨量、月経状況などを評価していくことが本来望ましい。小清水教授は「すごくきつい練習をした後に、ご飯を食べられなくなる選手がいる。そういうときは、食事時間を長く取るとか、食べやすいメニューをつくるといった工夫も必要」「成長曲線から見て、あまりにも体重が増えない時にも、食事量をしっかり考えないといけない」と注意点も挙げた。


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