こちら診察室 白内障A to Z
白内障手術を成功させるには?
~見極めるべきタイミング~ 【第2回】

眼鏡を使えば支障なく生活できる可能性がある。まずは確認を(イメージ画像)
◇眼鏡で病状把握を
ここまで手術を受けるタイミングについて書いてきましたが、すべて「眼鏡を掛ければ改善する」可能性があります。目の見えにくさに近視や遠視あるいは乱視、老眼がどの程度影響しているか、逆に白内障の影響がどの程度かは、まず眼鏡を掛けて把握する必要があります。ここが重要なポイントになります。
白内障には、自覚症状も水晶体の濁りもないような初期の段階から、明らかに視力が低下し、生活に支障が出ている進行期まであります。医師の立場からすると、初期でも進行期でも濁りが少しでもあれば白内障なのです。皆さんが眼科医から診断を下された場合は治療が必要な状態かもしれませんし、白内障というにはあまりにわずかな変化を指摘されたにすぎないのかもしれません。
手術を受けた後の満足感は、見え方がどれだけ改善したかによって決まります。手術後を100点とした場合、手術前が80点より60点だったときの方が満足度は高くなります。一方で健康寿命という点から考えてみると、80点ぐらい(なんとなく不快な状態)で10年過ごしてしまうより、100点の期間がより長い方がよいと考えることもできます。手術をするタイミングは皆さんの目の状態、生活の不便さなどを勘案して決めます。眼科医としての力量が試される場面です。(了)

渡邊敬三院長
渡邊敬三(わたなべ・けいぞう)
近畿大学医学部を卒業後、同眼科学教室に入局し、大阪府和泉市の府中病院(現府中アイセンター)に勤務。オーストラリア・シドニーでの研究留学などを経て、帰国後は同大学病院眼科で医学部講師として、白内障外来および角膜・ドライアイ外来を担当する。2016年に大阪府熊取町の南大阪アイクリニック院長に就き、多数の白内障手術を手掛けている。
診療の傍ら、オウンドメディア「白内障LAB」やYOUTUBEチャンネルで白内障や白内障手術の情報を発信している。
【注】
1)Kociecki J et al. Klin Oczna Polish 106(6):778-782, 2004
2)Miller KM et al. Ophthalmology. 2022 129(1)
3)Mathew MC et al. Cochrane Database Syst Rev 2012, Issue 6.
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(2025/02/18 05:00)
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