田中良哉 医師 (たなかよしや)

産業医科大学病院

福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1

  • 膠原病リウマチ内科・内分泌代謝糖尿病内科
  • 診療科長

内分泌科・糖尿病 リウマチ科 内科

専門

リウマチ、膠原病、アレルギー感染症、骨粗鬆症、内分泌代謝

田中良哉

膠原病・リウマチ性疾患の世界的権威。厚生労働省の自己免疫疾患に関する班会議の主任研究者として、治療ガイドラインなどの作成を手がけ、第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR 2009)では日本人初のEULAR awardを受賞している。この研究により田中良哉医師は抗リウマチ薬治療の常識を覆し、病歴の長い患者の寛解導入・投薬中止に可能性を与えている。こうしたグローバルな活躍の一方で、日々多くの患者に接するとともに地域の医療機関との連携を計り、医薬サービスの充実に努めている。

診療内容

第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR 2009)で田中医師は、生物学的製剤による関節リウマチ治療で患者が寛解に至り、投与を中止した1年後にも55%が寛解を維持できていることを発表。約3,000の応募演題から臨床部門のEULAR awardを受賞した。日本人として初の快挙というだけでなく、関節リウマチ治療の定説を書き変える発表だった。それまでも、生物学的製剤を用いることで、抗リウマチ薬による治療より高い確率で、しかも短期間で寛解に至ることは、欧米を中心とした臨床研究でも確かめられていた。しかし、生物学的製剤は非常に高価で、長期の投与は患者に大きな経済的負担となっているのが現状だ。田中医師による研究発表は、生物学的製剤を使用することで、抗リウマチ薬の生涯投与が必ずしも必要でないという新常識を提示するとともに、比較的罹病期間の長い患者でも寛解導入・投薬中止が可能性あることを明白にした。さらにどのような患者に生物学的製剤の投与が適しているのかを明らかにすることで、リウマチ医療のオーダーメイド化を一歩進めた点でも高く評価されている。
一般的なリウマチの治療は、対症療法と根本療法の二本立てで進められる。痛みや炎症を抑える抗炎症薬を使いながら、抗リウマチ薬によって根治を目指す。抗炎症薬には消炎鎮痛薬とステロイド薬があり、関節痛には優れた効き目が期待できるものの、リウマチの進行や関節の破壊を止めることはできない。このため、関節の痛みや腫れがなければ服用する必要はないといえる。とりわけステロイド薬は強い抗炎症効果が期待できるものの、さまざまな副作用を招いてしまう。日本では安易に使用されているが、米国リウマチ学会のガイドラインでは使用が厳しく制限されている。田中医師が診療科長を務める産業医科大学の膠原病リウマチ内科では、ステロイド薬はなるべく使わずに関節リウマチの治療が進められる。中心となるのは、免疫異常を抑えて、関節の炎症と関節破壊を抑える抗リウマチ薬、生物学的製剤を用いた先端的な根本療法。ホームページ上に展開中の治験薬の概略・適応基準などを掲載して円滑な導入を試みている。
関節の破壊は短時間で進行する。このため、リウマチと診断されたらすぐに抗リウマチ薬による治療を始めることが大切だ。米国リウマチ学会の治療指針では、リウマチと診断されたらただちにメトトレキサートという抗リウマチ薬を中心とした治療を始めること。効果が不十分ならほかの抗リウマチ薬を加えるなどして治療を強化することとしている。日本でもこの指針に従ってはいるものの、地域や医療機関によって格差があり、抗リウマチ薬を処方される患者は半数程度にとどまっている。メトトレキサートは国際的に有効性や安全性が証明された薬で、欧米の先進国ではリウマチ患者の8割以上が使用している。産業医大病院でも8割以上の患者に投与され、この薬だけで治る人も1~2割程度いる。リウマチ治療は最初に適切な治療を受けたかどうかで、その後が左右されることが少なくない。医療機関や医師を選択する際は、どのような療法で治療が進められるのか、しっかりと確認しておきたい。

医師プロフィール

1988年3月 産業医科大学大学院医学研究科修了
1989年9月 米国国立衛生研究所(NIH)客員研究員
2000年8月 産業医科大学医学部第1内科学講座教授
2005年4月 同大学病院副院長を兼任

「膠原病・リウマチ」を専門とする医師