喜多村健 医師 (きたむらけん)

東京医科歯科大学医学部附属病院

東京都文京区湯島1-5-45

  • 耳鼻咽喉科
  • 特任教授

耳鼻咽喉科

専門

難聴

喜多村健

喜多村健医師は、難聴や内耳の神経の病気のメカニズムと治療法について研究している。主任研究者を務めた厚生労働科学研究・急性高度難聴に関する調査研究では「ステロイドの全身投与で改善の見られなかった突発性難聴症例に鼓室内ステロイド注入が有効である」ことや「高気圧酸素療法は突発性難聴を改善する」等々、難聴にまつわる医療を前進させる数々の成果を上げた。特任教授を務める同科では、埋め込み型骨導補聴器による聴覚 回復を日本で初めて施行するなど、高度先進医療にも積極的に取り組んでいる。

診療内容

ある日突然、片耳(まれに両耳)の聴こえが悪くなる病気、突発性難聴。聞こえが悪くなると同時に、耳が詰まった感じや耳鳴り、吐き気やめまいなどを起こす場合もあるが、特に痛みはない。「何月何日の何時何分に発症した」と、聞こえが悪くなった瞬間を記憶している人も少なくないが、「朝起きたら聞こえないことに気がついた」という人もいる。(数日かけて聞こえなくなる人ケース含めるが、長い期間かけて徐々に悪化した場合は除外)
発症時の発作は1回限り。再発しないのが特徴で、もしも再発した場合には、外リンパ瘻や聴神経腫瘍、メニエール病など、ほかの病気が考えられる。また、難聴の中には発症頻度が突発性難聴の2倍で、耳が詰まった感じがする急性低音障害型感音難聴もある。放置しても8割は自然治癒するが自己診断は禁物だ。
「突発性難聴の原因や発症メカニズムはまだはっきりと解明されてはいませんが、有力なのはウイルス感染説と内耳の血流障害説です。その発症の引き金には、ストレスや過労による免疫力の低下が関係していると考えられています」同院耳鼻咽喉科の喜多村医師はそう説明する。
喜多村医師は、厚生労働科学研究・急性高度難聴に関する調査研究の主任研究者を務めた経験もある「難聴」のスペシャリストだ。
その喜多村医師が陣頭指揮をとって2001年に行った調査では、年間3万5,000人が突発性難聴で医療機関を受診していたことが分かっている。
「年々増加傾向にあり、男女差はなく、発症ピークは以前は40~50代でしたが、現在は50~60代。患者さんの年齢が高くなっていることを考えると、発症には加齢も関係しているのかもしれません」
有効な治療法も確立していない難病だが、早期の治療開始は大切なようだ。
「回復する場合には、発症から1-2週間のところで兆しが見え始めます。逆に1カ月も放置すると症状が固定してしまいます。ただ、自然治癒するケースも多い病気で、患者さんの3分の1は完治し、3分の1は改善するが難聴が残り、何をしてもまったく改善しない方は3分の1です。治療でよくなったのか、自然によくなったのか、はっきりしないこともありますね」治療でまず大切なのは安静だ。
「過労で免疫力が落ちているような場合には、入院して、心身を休めてあげるだけでも免疫力が高まりますので、治療効果があると思います」
薬剤はウイルス感染説と内耳の血流障害説に基づいて、ステロイド剤の点滴や内服、循環改善剤などが投与される。また、設備をもつ医療機関では高気圧タンク内に入り高濃度の酸素を吸う“高気圧酸素治療”も行われている。
「それでも効果が出ない重症例には、ステロイド剤を顕微鏡下で直接、中耳に注射する方法もあります」
突発性難聴では、治療で回復が期待できるチャンスは、遅くても発症から2週間が限度といわれている。
希少な回復のチャンスを逃さないよう、難聴になったら2~3日以内には耳鼻科を受診したい。
同院耳鼻咽喉科では、突発性難聴に限らず、あらゆる難聴を診てくれる。
「きこえ」に関する専門外来も開かれており、耳科学を専門とする医師により、難聴、耳鳴り、耳閉塞感などの症状のある方を対象に、診断、治療方針の決定を行っている。喜多村医師は現在、一般外来とめまい外来の担当だが「ひとつひとつ丁寧に」診ることをモットーに診療を行っているという。

医師プロフィール

1973年 東京大学医学部医学科卒業
1974年 東京大学 文部教官
1978年 国立病院医療センター 耳鼻咽喉科 厚生技官
1979年 ハーバード大学研究助手
1983年 自治医科大学 耳鼻咽喉科教室 講師
1985年 東京大学 耳鼻咽喉科学教室 講師
1991年 自治医科大学 耳鼻咽喉科学 助教授
1993年 自治医科大学 耳鼻咽喉科学 教授
1999年~現在 東京医科歯科大学耳鼻咽喉科学 教授
2004年 東京医科歯科大学 学長特別補佐
2004年 東京医科歯科大学 医学附属病院 副院長
2008年 東京医科歯科大学 副学長
2014年 東京医科歯科大学 特任教授
現在に至る