医師の紹介
診療内容
塩沢医師は「子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、症状としては月経以外の異常な性器出血、性交後の出血などがあります。しかし、まったく症状のない時点で、がんの前段階の変化が発見されることもあるので、症状がなくても〈子宮がん検診〉を定期的に受けることが必要です」と話す。
治療に当たっては、まず精密検査でがんの進行度合いを見極め、治療方針を決定する。「治療は、手術療法、放射線療法、化学療法の3本柱で成り立っています。これらの治療を組み合わせて治療をすすめます。どの療法が最適であるかは、患者さん個人個人によって異なります」と塩沢医師は言う。「手術療法にもいろいろあります。0期のがんで、患者さんが今後も妊娠・出産を希望する場合は、膣の方から病変した部分を切り取る〈頸部円錐切除術〉を、0期のがんやがんが頸部から外に出ていない段階では開腹手術によって子宮を摘出する〈単純子宮全摘術〉を行います。子宮頸がんを根本的に治療するためには〈広汎子宮全摘術〉を行い、子宮だけでなく、がんが広がっていく道筋である基靱帯、膣の一部、普通は卵巣・卵管も摘出しますが、可能であれば骨盤神経を温存する方法を選択しています。また子どもが欲しい若い女性にはがんがある子宮頸部だけを摘出し、子宮体部を残す手術も施行しています」。進行頸がんには、術前に化学療法(抗がん剤)を行った後の手術、あるいは手術と同時に化学放射線を照射する方法をとっている。また大部分の子宮頸がんには放射線療法が有効で、放射線療法だけでも十分治癒が期待できるケースもある。手術の追加治療として、放射線を照射する場合もある。
子宮にできるもうひとつのがんである子宮体がんは、子宮体部という子宮のうちでも妊娠をつかさどる部分にできる。多くは閉経後の女性に発生する。「症状としてはまずがんからの異常な出血があります。閉経後に出血があれば、このがんのことを考えて、産婦人科を受診する必要があります」と塩沢医師。子宮の奥の内膜の組織を検査し、子宮体がんであると診断されたら、治療のために入院が必要になる。入院後はまずがんのタイプや進行状況を見るために、さまざまな検査を行い、治療法を決定する。「治療としては、普通手術を行います。がんが子宮体部にとどまっていれば〈単純子宮摘出術〉を、がんが進行して頸部にまで進展している場合は〈広汎子宮摘出術〉を行います。若い患者さんの子宮内膜異型増殖症や初期体がんには手術ではなく黄体ホルモンを補充する保存的療法を行う場合もあります」(塩沢医師)
卵巣がんは卵巣にできるがんであるが、術前に正確な診断を行い、徹底した腫瘍減量手術を施行している。特に近年は教室内に消化器外科で腸管手術の研修を受けた産婦人科医師が増えているので、腸管切除などを含む大規模な手術が安全に施行可能になっている。「化学療法症例も多く、可能であれば外来で治療を行っています」とのこと。その他、外陰がん、腟がん、卵管がん、腹膜がんなどの患者も治療している。「患者さんのQOL向上を目的として、支持緩和療法(病期によって生じた身体的な苦痛や、精神的なつらさを緩和し、予防する治療)にも力を入れています」と塩沢医師は話している。
医師プロフィール
1990年3月 信州大学医学部産婦人科学修了
1990年4月 信州大学医学部助手
2001年 信州大学医学部講師
2005年 信州大学医学部助教授
2007年 信州大学医学部准教授
2008年 信州大学医学部教授
「婦人科がん」を専門とする医師
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青木大輔 医師 (あおきだいすけ)
慶應義塾大学病院
産婦人科 教授、診療部長
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伊藤公彦 医師 (いとうきみひこ)
関西労災病院
産婦人科 副院長 部長
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榎本隆之 医師 (えのもとたかゆき)
新潟大学医歯学総合病院
産科婦人科 科長、産科婦人科学主任教授
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片渕秀隆 医師 (かたぶちひでたか)
熊本大学医学部附属病院
婦人科・産科 病院長特別補佐 教授、科長
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吉川史隆 医師 (きっかわふみたか)
名古屋大学医学部附属病院
産婦人科 教授、科長
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小西郁生 医師 (こにしいくお)
国立病院機構 京都医療センター
産科婦人科 院長
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櫻木範明 医師 (さくらぎのりあき)
北海道大学病院
婦人科 教授、科長
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杉山徹 医師 (すぎやまとおる)
岩手医科大学附属病院
産婦人科 主任教授、診療科部長
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永野忠義 医師 (ながのただよし)
関西電力病院
婦人科 部長
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平松祐司 医師 (ひらまつゆうじ)
岡山市立市民病院
産婦人科 臨床顧問
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吉川裕之 医師 (よしかわひろゆき)
茨城県立中央病院 茨城県地域がんセンター
病院長