安藤正明 医師 (あんどうまさあき)

倉敷成人病センター

岡山県倉敷市白楽町250

  • 婦人科
  • 副院長、理事

婦人科 産婦人科

専門

子宮内膜症・子宮筋腫、子宮頚がん・子宮体がんの低侵襲手術

安藤正明

日本産科婦人科内視鏡学会常務理事を務める婦人科腹腔鏡下手術のエキスパート。1980年以降18,000例を超す手術執刀経験がある。深部子宮内膜症に対して、腹腔鏡下手術で病変の剥離、切除や組織・臓器の再建を行うことができる日本で唯一の医師。大型の子宮筋腫や多発筋腫など、難易度の高い症例に対しても腹腔鏡下手術を実施。豊富な経験・医学知識と世界トップレベルの高度な技術を用い、患者の気持ちに寄り添った医療を提供する。体への負担を減らすため、新しい術式の開発にも積極的に取り組んでいる。

診療内容

婦人科腹腔鏡下手術において日本一の質と手術件数を誇る同科では15名の医師が全ての婦人科疾患に常時対応している。
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医である安藤医師は「高度な技術を要する手術も安全、確実、さらに低侵襲に」を目標に腹腔鏡下手術に積極的に取り組んでいる。腹腔鏡下手術とは、腹部に0.2~1cmほどの穴を1~4箇所開け、炭酸ガスでお腹を膨らませてから腹腔鏡を挿入し、腹部内部の様子をテレビモニターで確認しながら細長い鉗子を使って手術する方法。限られた視野で行うため非常に高度な技術が要求されるが、開腹を回避することで手術による傷が小さくてすみ、早期回復が期待できるなど様々なメリットがある。同院では現在、子宮内膜症・子宮筋腫に対する手術はほとんど腹腔鏡か膣式手術で行っており、過去5年間における開腹手術の割合はわずか1.7%だ。
安藤医師が年間200例以上の手術を行う子宮内膜症は、子宮内膜類似組織が子宮外にできてしまう病気。月経のある女性の10人に1人が発症する。代表的な症状は、重い生理痛や下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などの様々な痛み。月経のたびに進行し、鎮痛剤が効かなくなる場合もある。治療を受けない限り、症状は閉経まで継続する。
子宮内膜症は発症する部位によって、腹膜病変、卵巣チョコレートのう胞、深部子宮内膜症、他臓器子宮内膜症に分けられる。腹膜病変は最も基本的な子宮内膜症で、腹膜内や臓器の表面に病変が発生する。大きさは極めて小さく、数ヶ所に散らばっているため、ひとつひとつ取り除いていく必要がある。卵巣チョコレートのう胞は卵巣のなかに発生する子宮内膜症で、のう胞の中身だけを摘出して卵巣を温存する方法や、卵巣を全て摘出する手術を行う。深部子宮内膜症は4つの子宮内膜症の中でも特に診断・治療が難しい。安藤医師は、正確な鉗子操作や休腔内縫合の技術に加え、損傷を避けるために段階的剥離法を考案するなど工夫をし、深部子宮内膜症に対する腹腔鏡下広汎性切除手術を可能にしている。また、内膜症は直腸、尿管、膀胱など全身どこにでも発生する。他臓器子宮内膜症では、病変を取り除き、必要に応じて臓器や組織の再建を行う。
安藤医師が年間約500例の手術を行う子宮筋腫は、子宮の筋肉から発生した良性の腫瘍だ。成人女性の4人に1人に見られ、患者は30代後半から徐々に増える。子宮筋腫の症状は、月経期間が長くなる、月経時の出血量が多くなる、月経時に強い痛みがあるなど、月経時に起こるものが一般的。進行し腫瘍が大きくなると、周囲の臓器・組織を圧迫し、腰痛や頻尿、便秘などが起きる。子宮の外に発症する有茎漿膜下筋腫は筋腫捻転が起こると激痛に襲われ、放っておくと腹膜炎などの重篤な合併症につながる。また、子宮の内側にできる粘膜下筋腫は出血しやすく、大量の出血による出血性ショックを起こす危険性がある。さらに、子宮筋腫はしばしば不妊の原因になり、まれではあるが悪性腫瘍の一種である子宮肉腫が見つかることもある。
子宮筋腫の手術方式は、筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術と子宮を全摘する子宮全摘術に分かれており、どちらの手術も開腹手術または腹腔鏡下手術で行う。腹腔鏡下手術は妊娠機能を維持しやすく、同院では子宮筋腫核出術を経験した後に妊娠・出産をした患者も少なくない。腹腔鏡下子宮全摘術は安藤医師が日本で一番多く行っている手術だ。通常の子宮は100g程度だが安藤医師は3kgを超える大きな子宮筋腫に対しても腹腔鏡で子宮全摘術を行っている。また、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんの手術は極めて侵襲の大きい患者につらい手術であるが、安藤医師は1998年から腹腔鏡手術を導入して低侵襲化を図っている。生存率は開腹と同等以上で痛みは極めて少なく、輸血もまれであり、回復が極めて早い。同院では子宮体がんの腹腔鏡手術を先進医療として受けることが出来る。
単孔式腹腔鏡下手術や経腟腹腔鏡下手術など、新しい術式の開発にも携わっている安藤医師。「難しい病状であっても可能な限り、患者さんに負担が少なく安全・確実に手術が行える方法をご提供できるよう日々医療技術の深耕・研鑽を行っています」と語り、常に腹腔鏡下手術の最先端を切り開いている。

医師プロフィール

1980年3月 自治医科大学医学部卒業 同年岡山赤十字病院研修
1982年4月 内科医として僻地診療に従事
1985年4月 岡山大学病院産婦人科入局
1986年4月 倉敷成人病センター産婦人科入局
1998年 フランスのリールで術式の研究
2001年 倉敷成人病センター産婦人科部長就任
2002年 ドイツのフリードリッヒ・シラー大学で研修
慶應大学客員助教授、京都大学常勤講師、大阪大学非常勤講師、北京首都大学客員教授を兼任
2009年 倉敷成人病センター副院長就任
慶應義塾大学医学部 客員教授、京都大学医学部 臨床教授、大阪大学医学部 臨床教授、タイ内視鏡トレーニングセンター客員教授、ドイツ内視鏡トレーニングセンター客員教授(マヒドール大学客員教授を兼任)
2010年4月 倉敷成人病センター 理事
2011年3月 AGES(Australian Gynaecologic Endoscopy Society)名誉会員
2011年10月 西安交通大学医学院客員教授
2011年11月 日本産科婦人科手術学会理事
2012年1月 日本婦人科腫瘍学会評議員
2012年5月 上海 ふくたん大学客員教授
2012年12月 三重大学産婦人科客員教授