有田玲子 医師 (ありたれいこ)

伊藤医院

埼玉県さいたま市見沼区南中野626-11

  • 眼科、内科
  • 副院長

眼科

専門

ドライアイ、マイボーム腺機能不全

有田玲子

スタッフと研究テーマは涙液の安定性、コンタクトレンズと涙液、ドライアイなど。マイボーム腺に関連する疾患の診断、治療にも情熱を傾けている。カフェイン摂取による涙液増加の研究(コーヒーを飲むとドライアイが改善する傾向を発表)や、非侵襲的マイボグラフィーの開発をはじめ、研究者としての業績も多く高い評価を受けている。同院のほか、都内の大学病院においてもチーフとしてドライアイおよびマイボーム腺機能不全を診察している。週末はほぼ毎週、地方へ出張するほど講演活動も活発に行う。

診療内容

眼が乾く・しょぼしょぼすると嘆く人は老若男女を問わず多く見られる。ドライアイはいまや現代病であり、誰にでも起こりうる病気だ。「目が乾くだけでなく、目を開けていられない、疲れる、ピントが合わないという人もドライアイであることが多くあります。パソコンや携帯・スマートフォンのヘビーユーザーに多いVDT症候群のほか、コンタクトレンズ装用者も目が乾燥しやすく、ドライアイは増え続けています。以前はシェーグレン症候群などのある一定の年齢以上の高齢女性に多いと考えられていましたが、ここ最近はアクティビティの高い若者から、年齢とともに涙が減っていく高齢の方まで、つまり10代から80代くらいまで、症状を訴える人の幅が非常に広くなっています」(有田医師)
涙液は大きく分けて油層と液層(水分)の2層からなるが「水」に注目した薬がここ1~2年で新しく2種類開発され、メディアでも話題になっている。有田医師の元を訪れる患者の中にも「テレビで見たのですが、この薬はありますか」という人が増えているという。
その新しい点眼薬について有田医師に聞いてみた。「従来の薬は水分を補充することを目的としていたので、点眼から5分もすれば蒸発して効き目がなくなっていました。無限に点眼しなければならなかったのですが、ジクアス(R)という点眼薬は自分で水分を出すよう刺激する成分が含まれるので涙を増やすことができ、根本的な治療になりうるものです。もう一つの新しい点眼薬ムコスタ(R)は、元々は胃薬で胃の粘膜を良くするものです。目の角膜上皮や結膜上皮は粘膜ですから、この粘膜の機能を改善する作用が効くのです」(有田医師)
涙を増やすジクアス(R)と、粘膜をきれいにするムコスタ(R)の作用機序は異なるので、この2種が出たことでドライアイの治療が大きく変わったという訳だ。
点眼薬以外の治療としては「涙点プラグ」という方法がある。涙が出る部分の、鼻に抜けていく穴を涙点というが、これをコラーゲンのような成分で塞いでしまう方法だ。ただし縫う訳ではなく穴にはめるだけなので、自然に取れることもあり永久的な治療ではないという。
一方、涙が含む「油」に着目した治療について、有田医師は次のように語る「涙に含まれる油分は瞼にあるマイボーム腺から出されますが、最近マイボーム腺がドライアイの原因として非常に重要であることがわかってきました。油が出なければいくら水があってもすぐに蒸発してしまうので、目を温めるなどして油分が固まらないようにすることが大切です。目を温めると気持ちいいのは、瞼の中の油を溶かして目の中に出すことでドライアイが解消するという原理があるからです。最近では市販の使い捨ての温熱アイマスク、目を温めるエステ機器など、家庭でも手軽にできる方法が増えているので、自宅でも目を温めるよう指導しています」
ちなみに高齢者のドライアイのうち8割は、マイボーム腺の異常が原因であることが2012年に判明したばかりだ。マイボーム腺の異常にも詳しい有田医師によれば、マイボーム腺機能不全の症状はドライアイと同じもののほか、瞼が重い・熱いという症状を訴える人も多いという。「これは涙中に出るはずの油が詰まったことによるもので、温めて溶かすケアや、詰まった油を鑷子(有田式セッシ)などで圧迫して除去する治療法もあります」
国際会議への招聘有田医師は、コーヒーを飲むと涙の産出量が増えてドライアイが改善するという研究を行った実績でも有名だ。健康なボランティアに協力を得て、カフェインのカプセル・ノンカフェインのカプセルを飲んだ後の涙液量を調査したところ、カフェインを摂取した人は涙が増えるという傾向が見られたという(ただしカフェインの感受性が高いかどうかによる)。研究を始めたのは、ある患者から「一杯のコーヒーを飲んだらその後の事務作業が楽になりますが、カフェインと涙の量は何か関係がありますか?」と聞かれたことがきっかけだと有田医師。患者からの素朴な疑問を一つ一つ拾い上げ、日夜研究や治療に役立てている。

医師プロフィール

1994年 京都府立医科大学 卒業
1997年 大阪大学細胞生体工学センター(染色体機能構造分野)留学
2001年 京都府立医科大学大学院博士課程修了
2002年 慶應義塾大学眼科助手
2005年 伊藤医院眼科副院長
2007年 東京大学眼科臨床研究員ドライアイ外来主任
2011年 慶應義塾大学眼科講師(非常勤)
2012年 慶應義塾大学付属病院MGD外来主任
現在に至る