小牧元 医師 (こまきげん)

医療法人社団高邦会 高木病院

福岡県大川市大字酒見141-11

  • 心療内科

心療内科 内科

専門

肥満症・摂食障害・心身症

小牧元

肥満症の治療では、認知のゆがみを修正して行動を変えていく認知行動療法に特に力を入れている。難治性の肥満症ではこの点が重要である。心理的ストレスが関連する身体の病気(心身症)や摂食障害の治療と研究に長年携わった経験を生かして、心身両面から取り組んでいる。同院心療内科非常勤医師、九州大学医学部非常勤講師の傍ら、国際医療福祉大学福岡保健医療学部でカウンセリング論や生命倫理などを教えている。

診療内容

ストレス関連疾患が増加している現代。心の状態は身体に影響を及ぼし、数々の病気を発症させる。身体の病気の中でも、その発症や経過に心理社会的ストレスが関与している場合は、一般的治療では治りにくいケースも多い。小牧医師が週3日診療を行う同院心療内科では、他職種・関連各科と連携をとりながら心身症の治療を行っている。同科の診療の対象となるのは、日常生活におけるこころと身体の複雑な相互作用を念頭に置いた治療が必要となる疾患群である。小牧医師は特に、肥満症や拒食・過食症などを専門としている。
肥満人口は世界的に増加しており、日本では2,300万人以上が肥満であるといわれている。BMIが25以上で、肥満に起因し減量により改善される健康障害を有するか、健康障害を伴いやすい内臓脂肪型肥満の場合は肥満症と診断される。肥満症は、食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒、休養といった日常生活の過ごし方、仕事の仕方、対人関係の取り方、あるいはストレスの対処の仕方などの生活習慣が発症原因に深く関与している。さらに、肥満であることによって体形や容姿面で嫌な思いをし、自己評価が下がることも少なくない。
肥満症の治療には、食事療法、運動療法、認知行動療法、薬物療法、外科療法などがある。身体の治療と心理療法を組み合わせ、心身両面から全人的医療を行っていくことが大切だ。一般に、こうした種々の治療法を組み合わせて減量することは、理論的にさほど難しいことではない。エネルギー摂取を抑え、エネルギー消費を増やせばいいからである。しかし、多くの非外科的治療法の効果は一時的であり、概して3~5年以内にそのほぼすべてが元の体重に戻る(リバウンド)とされる。小牧医師が得意とする認知行動療法は、こうした、結局失敗してしまう減量法の最大の理由として「減少した体重を維持するための方法」に治療の焦点があてられていないところに最大の問題点があると考えて、ステップ・バイ・ステップに治療を進めるところにある。このやり方はOxford大学教授Fairburn博士らが開発したものを基本としている。それは
1) 減量することと体重を維持することを区別する。
2) 減量期の期間中に、次の目標が体重の維持であることを受容することに対する潜在的な抵抗を扱う。
3) 効果的な体重コントロールに必要な行動面でのスキルや認知面での対応を習得、実践できるように援助する。
このようにして、患者自身が食事をコントロールし、減量した体重の再増加を最小限に抑えることを目標とし、医師と共に治療に取り組むやり方である。
近年、我が国では摂食障害罹患数は増加し、若年化と遷延化の傾向がみられる。摂食障害は、単なる食欲や食行動の異常というよりも、こころの在り方が密接に関与した、食行動の間違った習慣づけによるものとも言える。拒食症と過食症に大きく分けられるが、これはあくまでもその時点での診断基準を当てはめただけである。治療の中から見えてくるのは、食行動の習慣をもとの自然な状態に戻すという点で、両者に本質的に差はないということである。拒食症になりやすい素質の人は、ダイエットで飢餓状態・やせがもたらされるとその達成感からますます拒食症を続けようとし、逆に、もともと太りやすい素質を持つ人では、ダイエットを行っても元の体重に戻ろうとする体からの大きな圧力がかかるため、過食欲求は高まり、結局は失敗し、ダイエットと過食が繰り返されてしまう。これは前述したように、肥満の治療がうまくいかないことと全く同じメカニズムが働いていると言って良い。
従って、どちらの治療も、生活の中での食事習慣を自然なるものにいかに回復させるか、という点では同じものと言えよう。ただし、こころと身体の相互作用という点からすると、単に食事習慣の是正をすれば良いというような単純なものではない。例えば、対人関係での怒りや悲しみの対処の仕方や、自分でも気が付かないストレスや気分の変化に対する対処の仕方などが誤っていたりとか、知らず知らずにこころの部分が大きく関与した“生活習慣病”であるとも言える。
しかし、一般には、この病気への周囲・社会の無理解、偏見から、人知れず、誰にも話さないで過ごしてきたり、また専門の医療機関の不足から、回復のチャンスを失って本人も家族も大変困っているのが我が国の現状である。
こうした病気に対する治療では、治療者との信頼関係、協力関係が重要になる。セルフモニタリングを基本とした認知行動療法により、食事や体重について、あるいは自分自身に対しての間違った「思い込み」の修正を粘り強く行っていく必要がある。患者が自分自身の種々の身体的、心理的問題に自信を持って取り組めるような援助を行う。
心療内科医として、心身両面からの患者をサポートする小牧医師。心の不調から体調に影響が出ている患者ひとり一人にじっくり向き合い、最善の医療を提供している。

医師プロフィール

1978年 鹿児島大学医学部 卒業
1978年 天理よろづ相談所病院内科系レジデント
1980年 九州大学医学部心療内科入局
1989年 同大医学博士
1990年 九州大学医学部精神身体医学講座助手
1990年 米国Tulane大学医学部研究員
1992年 九州大学心療内科助手
1996年 九州大学心療内科講師
2000年 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所心身医学研究部長
2012年 国際医療福祉大学教授、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所名誉所員
現在に至る

「肥満症」を専門とする医師