中里雅光 医師 (なかざとまさみつ)

宮崎大学医学部附属病院

宮崎県宮崎市清武町木原5200

  • 第三内科(内分泌・代謝分野)
  • 附属病院副院長(診療担当)
  • 科長、教授

内分泌科・糖尿病 内科 内分泌内科

専門

神経内科学、病態医化学、分子神経学、糖尿病、肥満症

中里雅光

中里雅光医師は肥満に関する研究を第一線で行う、肥満科学のスペシャリスト。分子レベルでの摂食調節機構や肥満発症のメカニズム、治療戦略などについて長年にわたり取り組んできた。なかでも摂食亢進作用のあるペプチド(グレリン)に関する研究者として知られ、糖尿病や肥満に対するペプチド医薬品の研究・開発の実績を豊富に持っている。ペプチドが持つ多彩な作用の解明に基づいた臨床応用研究を現在も続けており、新たな内科学の展開に貢献することが期待されている医師である。

診療内容

運動不足や食べすぎが肥満を招くことは周知の事実だが、睡眠不足と肥満が深く関わっていることはまだ知らない人も多いのではないだろうか。睡眠が不足しがちな人は食欲が増しやすく太りやすい、裏を返せば、肥満予防のためには睡眠を十分とることが重要ということが近年の研究で明らかになっている。食欲には体内の二つのホルモン「グレリン」「レプチン」が作用しているという。中里医師は長年にわたり肥満のメカニズムについて、特にグレリンをはじめとするペプチドの研究を行ってきた。
グレリンは空腹時に胃から分泌されるホルモンで、食欲中枢を刺激して食欲を感じさせる作用がある。一方、レプチンは脂肪細胞から分泌され、満腹中枢を刺激して食欲を抑える働きを持っている。つまり食欲はグレリンとレプチンが作用しながら均衡を保っている。「しかし、睡眠不足が続くとグレリンが増えて食欲が増す一方で、レプチンが減るので満腹感も減ってしまうのです」と中里医師は話す。
睡眠時間とグレリン、レプチンの血中濃度を比較調査する研究によると、睡眠時間が短い人ほどグレリンが多くレプチンが少ない、つまり食欲が増す一方、満腹を感じにくくなっているという訳である。また、睡眠時間が短いほどBMIが高いことも明らかになっている。慢性的な睡眠不足の状態にある人は、たくさん食べても満足できない体になるというから注意が必要だ。
さらに、睡眠不足に陥ると、睡眠中の成長ホルモン分泌が抑制されるため、脂肪の分解や筋肉・骨の形成といった体の代謝も下がるという。これを防いで自律神経を鍛え、脂肪を燃焼させやすい体づくりを手軽にできるのが運動である。「運動している間は交感神経が活性化されます。さらに運動後は、その反動で副交感神経が活性化されるのです」(中里医師)。運動=単なるカロリー消費というだけではなく、神経に働きかける効果がある訳だ。
中里医師が率いる同科の内分泌・代謝分野では、視床下部・下垂体・甲状腺・副甲状腺・副腎・性腺や代謝の病気を診療している。各種ホルモンの過剰・不足(バセドウ病、アジソン病、クッシング病など)、腫瘍(甲状腺癌、副腎腫瘍、下垂体腫瘍など)、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、その他の糖尿病など)、脂質異常症、肥満症、メタボリックシンドロームなどが対象である(日本肥満学会が認定する肥満症専門病院の一つ)。さらに様々な疾患に対する遺伝子診断や糖尿病・肥満症・メタボリックシンドロームに対する患者教育・治療、下垂体疾患に対する内分泌学的評価と集学的治療、甲状腺疾患に対する放射線治療など、大学病院ならではの充実した総合医療を提供している。
食事を手軽な弁当で済ませる偏った食生活、そして睡眠不足や運動不足が慢性化する現代人は、知らず知らずのうちに自ら肥満の原因を生み出していると言える。長年にわたる肥満研究に裏付けられた医師の指導の下、太りにくい体づくりと生活改善に努めたい。

医師プロフィール

1980年3月 宮崎医科大学医学部 卒業
1984年3月 医学博士取得(宮崎医科大学大学院)
1985年4月 宮崎医科大学医学部第三内科助手(現宮崎大学医学部)
1991年 日本内科学会 奨励賞
1993年 日本生化学会 奨励賞
1994年4月 宮崎医科大学医学部第三内科兼任講師
1996年4月 宮崎医科大学医学部第三内科講師
2000年 日本肥満学会 学会賞
2002年 日本老年医学会最優秀論文賞
2003年9月 宮崎医科大学医学部第三内科教授
2003年10月 宮崎大学医学部第三内科教授(内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野)
2004年 野口賞(野口 遵 顕彰会)
2005年 宮崎日日新聞科学賞
2005年 宮崎県文化賞
2008年 日本医師会医学研究助成
2009年 武田科学振興財団 2009年度特定研究助成
2013年 杉田玄白賞

「肥満症」を専門とする医師