岩本晃明 医師 (いわもとてるあき)

山王病院

東京都港区赤坂8-10-16

  • リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター
  • 男性不妊部門長

泌尿器科 婦人科

専門

男性不妊、生殖内分泌学、環境ホルモン、メンズヘルス

岩本晃明

日本生殖医学会が認定する生殖医療専門医は大勢いるが、大半は婦人科医だ。泌尿器科医で男性を専門に診る医師はとても少なく日本全体でも54名、岩本晃明医師はその男性不妊専門医の資格を有する。さまざまな研究や調査に携わり、1999年から2003年には旧厚生省の依頼でコペンハーゲン大が主宰している男性生殖器能の国際疫学調査に日本側の代表として参加して若年男性、妊孕能を有する男性を調査した。若年男性に将来の不妊予備軍が34%いることが判明し若者の精子数減少を危惧している。これらのデータを2013年の国際誌に発表している。しかし環境ホルモンとの関係は現在でも明らかでない。また最近では「トマトジュースに男性不妊を予防・改善する効果が期待」カゴメ研究所との共同研究で岩本医師は、トマトジュースの継続的な摂取が男性不妊患者の精子の運動率や精液中の白血球数(炎症の度合いを示す指標)を改善することを確認。トマトジュースを飲むことで男性不妊の予防や改善が期待されると発表した。その他男性不妊症の論文も多数発表している。

診療内容

【原因診断と治療について】
不妊症の原因の半分近くは男性にある。治療すれば回復の可能性があるのに、診断・治療を受けていない男性も多いのが現状。現在、専門医が男性不妊の重要性について啓発活動を行っている。

男性不妊の80%くらいは原因が不明であるがその中でも精子の数が少ない(乏精子症)・動きが悪い(精子無力症)方の4割ほどを占める「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」という病気がある。これは精巣に血液が逆流して精巣周辺の静脈がこぶ状に怒張する。その結果、精巣の温度が上昇して精子を作る機能が低下するだけでなく、精子の質も悪くなっていく。しかし、ほとんどの方は症状がなく自分自身では「精索静脈瘤」と分からない。精液所見が悪いといわれた方は専門医のいる病院を受診し、精索静脈瘤の有無を診断してもらうことが重要である。なぜなら精液所見が不良な方に効果が明らかな薬がない(効果は20%程度)のが現状である。精索静脈瘤の手術(1泊2日程度の入院が必要)により精液所見の改善は、60~70%に見られると岩本医師は言う。

「男性側の不妊の原因としては、『精索静脈瘤』のほかに、10数%ほど精液中に精子が見られない『無精子症』というケースがある。決して諦めてはいけない。大きく分けて精巣内では精子が作られている閉塞性無精子症がある。この場合には精子が通る道が閉塞しておりバイパス手術を行うことによって自然妊娠が可能となる。一方精巣の中では精子が作られていない場合(非閉塞性無精子症という)に下垂体のホルモンが分泌されていないタイプはホルモン補充療法を行うことによって自然妊娠が可能になる病気が含まれる。一番多い非閉塞性無精子症のケースは最先端の医療として精巣から直接精子を取り出す「micro-dissectionTESE:MD-TESE」(顕微鏡下精巣内精子採取術)などが行われている。
「20~30%の方に精子が回収でき顕微授精によってお子様が出来る可能性があります。不妊に悩むご夫婦は、男性も早めに検査をすることが大事です」(岩本医師)
「生殖医療に携わる医師や患者さんに男性不妊症の正しい知識を普及するため、現在、男性不妊専門医が集まり「NPO法人男性不妊ドクターズ」を設立して今後の広報活動を検討しています。今後いっそう男性不妊の普及活動に力を入れていきます」と岩本医師は言う。
その他、男性不妊の原因には、最近多くなった病気として勃起障害、射精障害などさまざまなものがあり、治療も多岐にわたる。「精液検査の結果が悪くてもあきらめずに、ぜひ一度、男性不妊専門医を受診してください」(岩本医師)。専門医がいない地域もあるので、日本生殖医学会HPの生殖医療専門医認定者一覧で確認できる。

医師プロフィール

1970年 横浜市立大学医学部 卒業
1986年 カナダ・ケベック州マックギル大学医学部 客員教授(カナダロイヤルビクトリア病院 泌尿器科学研究室)男性不妊症についての研究のため留学
1996年 聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教室 教授
2007年 国際医療福祉大学 大学院教授 国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター、男性不妊部門長
2016年 国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王病院リプロダクションセンター男性不妊部門長