溝上雅史 医師 (みぞかみまさし)

国立国際医療研究センター国府台病院

千葉県市川市国府台1-7-1

  • ゲノム医科学プロジェクト
  • プロジェクト長

内科 消化器科

専門

肝炎(病原体と宿主の遺伝子変異と多型の分子進化学的解析とその臨床応用)

溝上雅史

溝上雅史医師は、肝炎ウイルスを分子進化学的手法でデータベース化し、いち早く世界に情報発信してきた肝炎研究の第一人者。2008年に国立国際医療センター国府台病院の肝炎・免疫研究センター長に就任後は、世界的にも最先端の肝炎研究を行い、国の肝炎対策の中核を担っている。1978年に国内一の熱傷センターをもつ病院に赴任。当時、火傷患者に血しょう輸血が頻繁に行われ、輸血後の肝炎感染が多発していた。職員にも感染して院内がパニック状態の中、肝炎診療と予防を担当する。1989年ロンドン留学中にさまざまな国の肝炎患者を診て、民族によって肝炎ウイルスの型が違い、それによって臨床像も変わってくることに気づく。分子進化学的手法を、世界で初めて実際の臨床に応用することを試みた。患者側の遺伝子解析を行い、国によって病状や肝炎ウイルスの型が異なるということを見出し、肝炎治療の新たな治療法の確立に貢献した。肝炎ウイルスの完全撲滅に向けて全力で取り組んでいる。

診療内容

現在、国内の肝炎ウイルス感染者は約250万人と言われ、ウイルス性肝炎は国内最大の感染症とされている。また、国内の肝がんの死亡者数は年間約3万人、その8~9割が肝炎ウイルスによるもので、日本で発症する肝がんのほとんどがB型とC型である。B型・C型肝炎ウイルスによる肝がんを撲滅するためには、これらの肝炎の病態とそれに伴う免疫の変化を明らかにし、その結果を診断や治療に応用することで肝がんの発生を防ぐことができると考えられている。
溝上医師がセンター長を務める国立国際医療研究センター国府台病院 肝炎・免疫研究センターは、国内における肝炎および肝がん撲滅を目的に2008年10月1日に設立された。肝臓および免疫分野における国内外トップクラスの人材及び研究機器を有し、世界でも最先端の研究を行っている。
最大の特徴としてC型慢性肝炎に対するインターフェロン治療が効きにくい患者を見分ける方法を確立。この手法は世界的にも注目されている。効果予測が治療前に可能となる検査を行うことで、不要な副作用の回避や無駄な医療費の節減が可能となった。
2003年のヒューマンゲノムプロジェクト以降、ホスト(患者)側の30億もの莫大な数の遺伝子が見えるようになってきている。近い将来、ウイルスとホスト(患者)側でさまざまなタイプのウイルスや遺伝子の区別が付くようになれば、治療する必要がある人と治療する必要がない人に分けられるようになり、国の医療費の負担も大幅に削減できるという。

「最近のウイルス性肝炎の治療は日々進歩しています。現在、ウイルス性肝炎は治る、もしくはコントロールできる病気になっています。たとえ感染していても、医療機関で適切な治療を受けることで、深刻な症状に進行するのを防ぐことができます。肝炎ウイルス検査を受けたことがない方、自分が感染しているかどうか分からない方は、一度検査を受けてみてください」(溝上医師)

医師プロフィール

1976年 3月 名古屋市立大学医学部卒業
1976年 4月 名古屋市立大学医学部第二内科入局
1978年 7月 社会保険中京病院消化器科医師
1989年11月 英国 King's College Hospital, Liver UnitにClinical Research Fellowとして留学
2000年11月 名古屋市立大学医学部 臨床検査医学教授 兼 名古屋市立大学病院 中央検査部部長
2001年11月 名古屋市立大学大学院医学研究科 臨床分子情報医学分野教授 兼 名古屋市立大学病院 中央検査部部長
2008年 6月 兼 名古屋市立大学病院 肝疾患センター長
2008年10月 国立国際医療センター 国府台病院 肝炎・免疫研究センター センター長 兼 名古屋市立大学大学院連携大学院 肝炎・免疫分野教授
2010年10月 独立行政法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター センター長 兼 名古屋市立大学大学院連携大学院 肝炎・免疫分野教授
2016年4月 国立国際医療研究センター研究所 ゲノム医科学プロジェクト プロジェクト長
兼 名古屋市立大学大学院連携大学院 肝炎・免疫分野教授