伊藤克人 医師 (いとうかつひと)

東急病院

東京都大田区北千束3-27-2

  • 心療内科
  • 医長

心療内科 内科

専門

心身医学、産業医学、森田療法

伊藤克人

伊藤克人医師は、内科系の心療内科医として、長年にわたり過敏性腸症候群をはじめとするストレスによる心身の病気を診療してきた。病院で行う通常の診療のほか、産業医・労働衛生コンサルタントとしての活動実績も豊富で、東急電鉄グループなど、企業で働く人々のメンタルヘルス対策にも深く関わっている。特に専門とするのが森田療法。薬物療法や日常生活指導にとどまらず、ストレスを緩和して症状軽減を図るアプローチを実施している。

診療内容

検査をしても腸に異常がないのに、下痢や便秘を起こす過敏性腸症候群。通勤中に何度もトイレを求めて電車を降りたり、痛みを恐れて仕事前に食事を摂らない人もいるほど、ストレス時代のビジネスパーソンにとって深刻な病気の1つだ。伊藤医師によればその受療傾向は特徴的で、重症は5%程度、中等症が25%、圧倒的に多く70%を占めるのが軽症であるという。

伊藤医師が診断時に重視するのが、他の大きな病気との鑑別をしっかり行うこと。そのために重要なのが医師の選び方だ。心療内科を標榜する医療機関の7~8割は、精神科の医師が診療している。精神科医による心療内科にかかると、下痢などはうつ病などによる身体症状のひとつとしての治療が始まることが多く、腸の大きな病気を見落とす恐れがあるという。「ストレスがあって腹痛や下痢をする状態のすべてを、即、過敏性腸症候群と診断しないで、鑑別することが大切。大腸がんなど、他の病気である可能性がないかを検査しなければなりません。便潜血検査や内視鏡検査により、他の重大な病気の可能性を除外することが求められます」(伊藤医師)。
伊藤医師は心療内科学会の認定医・登録医を調べて受診するよう勧める。

治療にあたっては、下痢や便秘向けの薬を対症療法として用いることもあるが、それでも治らない場合は一段階進んだ薬物療法を行う。まずは腸の運動機能を整える薬やガス減少薬のほか、心療内科では抗不安薬・抗うつ薬も使用。ただし、過敏性腸症候群に対して、副作用が出るほど大量の薬は使わないという。

伊藤医師が特に専門性を発揮して行う治療は「森田療法」だ。森田療法は古色蒼然としたイメージがあるが、国際森田療法学会が開催されるほど、海外でも盛んに行われている心理療法の1つ。MORITA(therapy)は国際語になっており、伊藤医師もあえて「MORITA」と表記している。近年話題になったアドラーは、実は森田正馬と同じ時代を生きた人物である。アドラー心理学は、フロイトの精神分析と違って過去を問わず、過去は現在が作るという考え方。これは森田療法にも共通するものだという。伊藤医師は、「過去は変えられないが、捉え方自体は生き方によって変えることができる」という考え方に基づいて、多くの患者に向き合ってきた。

伊藤医師は、「同じ時代を生きていた森田とアドラーに、何らかの接点はなかったのかと思ったりします。森田はドイツに論文を送りましたが、結局雑誌には掲載されませんでした。しかしその考え方に触れたドイツの学者が当時存在するわけです」と語る。ただ目の前の患者を診療することにとどまらず、自らの行う治療法への愛着を持って日々診療にあたっている。

医師プロフィール

1980年 筑波大学医学専門学群卒業後、東京大学医学部付属病院分院心療内科
1986年 東急病院心療内科 兼 健康管理センター
2003年 心療内科医長 兼 健康管理センター所長

「過敏性腸症候群」を専門とする医師