シンチグラフィ検査 家庭の医学

 目的とする臓器に取り込まれやすい化合物に、放射性同位元素の目印をつけ(標識)、体内に投与すると、標識した化合物がその臓器に集積します。放射性同位元素の放射活性を専用のカメラで体外から検出して、臓器への集積の度合いや分布を画像化するのがシンチグラフィ検査です。肝臓や膵(すい)臓、胆道や腎臓、心筋、骨、甲状腺、副甲状腺、副腎、脳などでシンチグラフィがおこなわれ、がんの存在や血流の診断、臓器の機能評価などに使われます。
 たとえば甲状腺の場合、甲状腺ホルモンの材料となる放射性ヨードを経口投与し、投与量に対して甲状腺へ取り込まれる放射性ヨード摂取率によってヨード代謝をみる検査などがあります。甲状腺機能が異常に高まる(甲状腺機能亢進症)のが特徴のバセドウ病では、この摂取率が高いことで診断が可能ですが、治療が成功すると正常化するので、治療の効果も知ることができます。
 なお、シンチグラフィの結果をCTのような断層像で表示する検査もあり、SPECT検査と呼ばれます。脳の血流分布をみる脳シンチグラフィ、心筋の血流の不均等を見る心筋シンチグラフィ、肝臓の機能の部分的な変化をみる肝シンチグラフィなどが代表的です。

【参照】医療機器によるおもな検査:シンチグラフィ(SPECT/PET)検査

(執筆・監修:自治医科大学 教授〔臨床検査医学〕 紺野 啓)