微生物検査

 感染症は細菌やウイルス、リケッチア、原虫などによってひき起こされる日常的かかりやすい病気です。軽症のものから致死的なものまで無数の感染症があります。特に細菌感染症は抗菌薬の進歩により治療が可能となったため、どのような細菌が感染の原因となっているのか、どのような抗菌薬が効果を示すのかを調べることは、感染症に的確に対処し、抗菌薬に対する耐性菌を発生させないためにも重要な検査です。
 検体としては、尿、便、喀(かく)たん、血液、膿、穿刺(せんし)液、咽頭分泌物など、ありとあらゆる検体が使われます。
 感染症の原因となっている菌の確認は、菌が多いときには顕微鏡による観察でもわかることがあります。結核菌に対して抗酸菌染色を施すと、喀たん内の結核菌が見られます。
通常は検体の一部を培養用の培地でふやし、出てきた同一菌のかたまり(コロニー)を染色して顕微鏡で調べたり、化学反応を見たり、別の特殊な培地で培養したり、さらには遺伝子を検査して菌の種類を決定します(菌の同定)。菌によっては空気の存在下(好気性菌)、非存在下(嫌気性菌)で発育のしかたが異なります。
 また、発育速度も一晩で十分なものと、結核菌のように1カ月近くを要するものとがあります。
 そこで、最近では結果を迅速に出すために質量分析装置を用いて微生物の遺伝子情報を知る方法が用いられるようになっています。
 菌が同定されると、次は有効な抗菌薬を検討します(感受性検査)。
 効きそうな抗菌薬の各種濃度を染みこませた円盤の周囲でも菌が発育するかどうかを見て、感受性なし(-)、感受性あり(+、++、+++)に分類して報告します。また、薬剤に耐性菌になっていないかを遺伝子レベルで確認します。菌を同定し、感受性検査の情報が得られたら、担当医は感染している臓器を考慮して、適切な抗菌薬とその投与量、投与間隔を選択し治療を開始します。
 一度抗菌薬の投与を開始すると菌が存在していてもなかなか培養されないことも多いので、できるだけ最初の抗菌薬投与前に細菌検査をおこなうことが大切です。
 細菌感染の有無に関しては、このような従来からの培養を必要とする検査ばかりでなく、血清や尿に存在する細菌やその生成する微量のたんぱく質を迅速に診断するキットが使用されています。たとえば、溶血性連鎖球菌の迅速診断キット、インフルエンザウイルス診断キットなどは、短時間で結果が得られるため、日常の診療でも使われています。