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内科外来を担当していると、遭遇する頻度の最も高い疾患が高血圧症です。体内のホルモン異常、腎臓や心臓の異常などによる二次性高血圧症も存在しますが、多くは生活習慣や体質が原因の本態性高血圧症で、特に塩分の取り過ぎが問題となっているケースが目立ちます。
病院は受診していないけれど、血圧が気になっており、塩分制限や健康食品で改善を試みたいと考えている方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は血圧を下げるための食事習慣について紹介します。
おなじみの和食メニューだが、塩分が多過ぎないだろうか。塩分控えめでもおいしく食べられるよう工夫するとともに、野菜を必ず取るようにしたい
◇塩分は6グラム未満に
高血圧症の患者さんには、塩分摂取を1日当たり6グラム未満にするようお願いしています。取り過ぎの自覚がない方が多いので、私の外来では、普段の食事内容を聴取してそれぞれに含まれる塩分量を伝え、食べる頻度をどの程度まで減らせばよいかを考えます。具体的には「みそ汁と梅干しはそれぞれ1グラム以上の塩分を含むので、どちらかにしましょう」「ソーセージは2本で1グラム以上の塩分を含みます。毎日食べるのはやめましょう」などといった具合です。
ただ、食べているもの全ての塩分量を調べるには大変な手間がかかります。自分がどのくらいの塩分を摂取しているかを正確に把握できている方はほとんどいないとみられます。
◇野菜・果物でカリウム摂取
血圧を下げるもう一つの食事療法が「ナトカリ比」という考え方です。これは尿の中に含まれるナトリウム量をカリウム量で割った値であり、尿検査で調べることができます。検査方法としては、24時間分の尿をためる方法、週に4回病院に来てその都度尿検査をする方法などがあります。
ナトカリ比が高い人ほど血圧は高くなるため、この比率を下げること、具体的には2未満にすることが推奨されています。分母であるカリウムの摂取量を増やすと、ナトカリ比を下げることができます。カリウムには塩分を排出させる働きがあるからで、野菜や果物に多く含まれています。詳しい食事内容は「ナトカリ比 食事」で検索してみてください。
ただ、食事療法のみに頼り過ぎないことも大切です。高血圧症には動脈硬化や血管の狭窄(きょうさく)・拡張不良などの体質が関わっていることも多く、食事療法だけで十分な改善が見られない場合は薬物治療が必要です。また、腎臓が悪い方にとってはカリウムの摂り過ぎは体に害となる場合もあります。血圧が気になる方は、まずは一度病院を受診して、食事療法も医師と相談しながら行うのが最も良いでしょう。(了)
渡邉昂汰氏
渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。
(2025/02/28 05:00)
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