高齢者、持病のある人は警戒を
季節性インフルエンザ
予防についても正しい知識が必要だ。インフルエンザはせきやくしゃみで出た飛沫(ひまつ)が空気中を漂い感染を広げる飛沫感染が中心とされる。このため池松医師は「患者は自宅で他の人と接しないようにしておきたい。家族内で患者が出た場合でも、患者を別の部屋に分け、同じ空気を吸わないようにすれば、感染制御の観点ではよいのではないか。感染防止対策は状況に応じ、できる範囲でやるとよいだろう」と話す。
マスク姿の男性ら
池松医師が強調するのが、マスクの使い方だ。患者がマスクを着けてせきやくしゃみによる飛沫を広げないことが大事になる。せきとかくしゃみが漏れないような、比較的顔面を広くカバーできるマスクであれば十分だ。インフルエンザウイルスを遮断するような高性能のマスクは非常に高価な上に、付けていると息苦しくなるほどなので一般の人への使用は勧められない。
一方で、「健康な人がマスクによってインフルエンザをどの程度予防できるかについては、はっきりしたデータはない。ただ保湿などの気道の環境整備という観点から、マスクは有用と考えられる」と言う。インフルエンザウイルスは感染力の強いノロウイルスなどと違い、嘔吐(おうと)物とか便にウイルスが多量に含まれていることはない。使い捨ての手袋がない場合は、処置後に流水で洗い流してから、せっけんで手をきれいに洗えばよい。
◇復帰は解熱から2~3日
熱が下がるなど症状が改善してから、どのタイミングで学校や職場に復帰するかについても注意が必要だ。同医師は「熱が下がってからも、まだウイルスが残っている人がいる。その比率は、小さな子どもの方が高い。治療開始から5日後でも、検査法によっては患者の1割くらいにウイルスが見つかるという報告もある。ただ、このウイルスがどの程度感染を引き起こすかは分かっていない」と指摘する。その上で「大人も小児も解熱してから、2日とか3日が一つの目安になる」と言う。
インフルエンザワクチンの予防接種
インフルエンザワクチンの予防接種について池松医師は「感染を防ぐということで、意味があるというデータがたくさん出ており、やはりワクチンは接種すべきだと思う」と話す。同時に「インフルエンザワクチンは社会全体で入院や肺炎を減らし、重症化を防ぐという意味があると思われる。接種を受けた人を一人一人見れば、ワクチンを接種したのに感染した、ということがよくあり、なかなか効果を実感してもらえないかもしれないが、接種を受けることを推奨する」としている。
また、インフルエンザが誘発する二次性肺炎についても、「原因の多くを占める肺炎球菌という細菌に対してワクチンが日本では2種類ある。幅広い型に対して効果が期待される23価のポリサッカライドワクチンは、高齢者に対して法律で定められた定期接種として勧められている。もう一つの、対象となる型が少ない13価の結合型ワクチンは免疫効果が高いとされている。これらのワクチンには一定の効果が期待できる」と言う。(時事通信社 喜多壮太郎・鈴木豊)
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(2018/11/16 06:10)