内村直尚 医師 (うちむらなおひさ)

久留米大学病院

福岡県久留米市旭町67

  • 精神神経科
  • 教授

精神科 神経科 内科

専門

不眠症、過眠症、レム睡眠行動障害、概日リズム睡眠障害、むずむず脚症候群

内村直尚

1981年に日本初の睡眠障害専門外来を開設、チームトップとして牽引してきた睡眠障害のエキスパート。内村直尚医師は「地域に貢献できる臨床家の育成」を自らに課せられた役割だと言い、現場に強い医師を数多く育ててきた。その実践の場でもある精神科外来では睡眠障害だけでなく、感情障害・統合失調症・てんかん・認知症・アルコール・心身症・PTSDなど専門領域まで幅広く受け入れている。精神科チームは院内の各科と連携をとり、児童思春期の心の問題から緩和ケアまで幅広い臨床をおこなっている。

診療内容

「日本人は、眠れないくらいでは死なないと思っている」というのは、以前から内村医師がよく口にする言葉。ストレス社会に暮らす現代人は、体よりも頭を酷使しているため十分な睡眠をとらないと体や心に変調をきたしてしまうというのに、日本人は睡眠というものを軽視する傾向にある。
そのため、はじめはちょっとした睡眠障害だと思っていたものが、深刻なケースにいたってしまうものも少なくないのだ。慢性的な睡眠不足が続くと、高血圧、心臓病、脳卒中、さらには糖尿病やうつ病などの病気にかかる危険性が高まる。しかし十分な睡眠をとっていれば、その危険はかなり減らすことができる。
「睡眠中はストレスから解放されるため、心や脳が十分に休息をとることができるのです」と内村医師は語る。
ようするに睡眠というのは、ストレスの特効薬と言えるほど大切なものなのである。なのに日本人は、長期間眠れない日が続いても医師に相談することがないのが現状だという。その代わり寝付きをよくするためにと、アルコールを摂取する人が多い。しかし、アルコール摂取にて寝付きがよくなるが、肝臓で代謝されたあとに覚醒作用を示すため、睡眠が浅くなる。また、アルコールは耐性および依存性も高いため、睡眠を維持するためにアルコール量は増加し、やめられなくなる。したがって、アルコールによって不眠を解消しようとするのは危険であると内村医師は警鐘を鳴らす。
「自分の睡眠がどのような状態なのかを知ること」が、不眠治療の第一歩だという。不眠には大きく分けて、うまく寝付けない入眠障害、寝ても何度も目が覚める中途覚醒、早く目が覚める早朝覚醒、ぐっすり寝た気がしない熟眠障害がある。それぞれの不眠タイプを見極め、また別の病気が潜んでいないかを的確に判断して、個々の患者に寄り添った不眠解消へのルート作りをサポートするのが内村医師率いる精神科チームの仕事。
「幼少時から高齢になり死を迎えるまで、どの年代においても精神科医が関わっていけるようにしたい」という考えのもと、同科は、さまざまな科と連携を取っている。2007年からは小児科と連携し、児童思春期の心の問題に取り組み、産婦人科とは産褥期や更年期の問題で連携。さらに臓器移植の患者に対しては術前や術後、また緩和ケアにも積極的に関わっている。そして同じ2007年からカウンセリングセンターが独立。これは個人精神療法のためのもので、初診は精神科が担当、その後症状などを見極めた上でカウンセリングセンターを紹介している。センターには臨床心理士が常在し、保険外診療を受けられる。また、デイケアセンターを併設し、統合失調症や感情障害のリハビリテーションも行っている。
1983年からは精神科で数チーム作って、毎週定期的に各科をまわるリエゾン・コンサルテーションを実施しているという。これにより、年間の相談件数は600件にのぼる。これこそが内村医師の言う「地域に貢献できる臨床家の育成」の実践であり、同科チームの強みでもある。
昨今の精神医学・医療へのニーズの高さに応えるように、睡眠障害からPTSD、うつ病といった幅広い対応疾患、小児から高齢者まで、急性期治療から回復期のリハビリテーションや就労支援までカバーできる同院は、これからの時代さらにその役割を期待されるだろう。

医師プロフィール

1982年 久留米大学医学部 卒業
1982年 久留米大学大学院医学研究科 生理系専攻博士課程 入学
1986年 博士課程 修了
1986年 久留米大学精神神経科学教室 助手
2007年 久留米大学医学部神経精神医学講座 教授
2011年 久留米大学病院 副病院長 兼務(~2012年)
2012年 久留米大学高次脳疾患研究所所長 兼務
2013年 久留米大学医学部長 兼務
2016年 久留米大学副学長 兼務