伊藤隆 医師 (いとうたかし)

東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック

東京都北区田端1-21-8 NSKビル3F

  • 東洋医学研究所
  • 教授・所長

心療内科 東洋医学 呼吸器科

専門

和漢診療学、呼吸器内科、心療内科

伊藤隆

伊藤隆医師は日本を代表する漢方家の一人。日本東洋医学会では『日本東洋医学雑誌』の編集担当理事,常務理事を務め、現在監事を担当している。常に最新の東洋医学に接し、取り入れられる環境をもつ。「西洋医学の土台の上でこそ、東洋医学が力を発揮する」という考えのもと、時代に先駆けた幅広い医療ニーズに応えている。労働者健康福祉機構 鹿島労災病院へは和漢診療センター設立時に入職し、現在も非常勤医師として内科・漢方外来を担当している。筑波大学、千葉科学大学非常勤講師兼任。2014年より東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック教授。2015年同所長。

診療内容

漢方内科で、西洋医学では診断のつきにくい症状を日々診断する伊藤医師。
治療は漢方薬が中心ではあるが「東洋医学は西洋医学の土台のもとにこそ力を発揮する」という信念をもっており、病気によっては検査を行い、必要があれば西洋薬も処方する。症状次第では鍼灸の併用や、現代医学をすすめるケースもあるなど、柔軟で広い視野に立った診断と治療により、患者からの信頼を築いている。そして「冷え症」とは漢方が最も得意とする病態。西洋医学では明らかな血管障害がない限り、冷えに対する良い治療手段がないという。
冷え症の解消には「温めること」が基本だが、必ずしも薬を使うわけではない。
「現代人は体調が悪いと、すぐ薬に走る傾向があります。鼻水が出る程度で風邪だと思い込み、薬局で薬を買い求めたり、適当な薬がないと、得てしてサプリメントに走ります。しかし、人間の体はそのようなものがなくても、十分機能できるようにつくられています。漢方医学を学習していると、我々がいつからか、生活のなかで培ってきた健康の知恵を失っていることに気づかされます。冷え症は医療というより、飲食や運動など、生活の知恵で相当程度まで改善し得る症状です。それでも改善しない場合には、漢方薬の出番です」(伊藤医師)
冷え症を改善する生活の知恵や習慣については『予防としてこころがけたいこと』の項を参照いただきたい。なお、冷え性の解消のための「血を巡らせる漢方薬」として一般的なのは「桂枝茯苓丸」である。これは「桂皮(ケイヒ)」「芍薬(シャクヤク)」「牡丹皮(ボタンピ)」「桃仁(トウニン)」「茯苓(ブクリョウ)の五味から構成されたもの。
「桂皮」は気の上衝を鎮める主薬。血流量を増加させることで、冷えを温めてくれる。
「芍薬」「牡丹皮」「桃仁」はいずれも「ば血」を治療する生薬。芍薬は平滑筋の筋緊張を緩めて痛みを抑えてくれるため、冷え・生理痛・腰痛・手足の種々の痛み・しびれに対して有効である。牡丹皮には炎症を抑えて免疫を賦活する作用のほか、血液をサラサラにする作用が。桃仁は炎症を抑えて痛みを鎮めるほか、便通を促進する作用もある。
「茯苓」には利水作用があり、むくみに良いとされるほか、鎮静作用もある。
桂枝狭苓丸を服用すると赤血球同士の集合状態が散り、全体としてスムーズに血液が流れることが観察できるという。さらに冷え性だけでなく、脳血管障害後遺症の改善にも寄与することが証明されているのだそうだ。なお、伊藤医師による初診時には問診票記入のほか心理機能検査を行う場合もあり(強制ではない)、適切な処方を検討するために脈診と腹診を必ず行う。そのため、最低でも30分は診察にかかるという。再診時には通常の診断のほか、薬の副作用をチェックするために体重・むくみ・血圧、ときには採血検査も行う。また、漢方薬の処方といえばエキス剤(顆粒)が一般的だが、鹿島労災病院和漢診療センターでは煎じ薬を処方。効果は煎じ薬のほうが断然に優れているにもかかわらず「臭い」「調剤管理の手間がかかる」などの理由で、多くの病院では煎じ薬を敬遠する傾向にあるのだとか。
ちなみに、同院のような中規模以上の病院で煎じ薬を処方できる施設は、関東地方には極めて少ないという。

医師プロフィール

1981年 千葉大学医学部 卒業
1995年 富山医科薬科大学付属病院和漢診療学講座助教授
1999年 富山医科薬科大学和漢薬研究所漢方診断学部門客員教授
2001年 鹿島労災病院和漢診療センター センター長
2014年 東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック 教授
2015年 同所長