天野惠子 医師 (あまのけいこ)

静風荘病院

埼玉県新座市堀ノ内1-9-28

  • 女性内科・循環器
  • 特別顧問

総合診療科 内科 循環器科

専門

循環器疾患、更年期における諸疾患、慢性疲労症候群

天野惠子

日本における性差医療のスペシャリスト。循環器を専門とする天野惠子医師のもとには、男性中心の医療では見逃されてきた微小血管狭心症や線維筋痛症、更年期障害、月経困難症などの疾患に苦しむ女性たちが全国から訪れる。診療は予約前に症状について長い経歴を書いてFAXで送ることから始まり、初診は30分以上かけて丁寧に診る。症状は問わず、最後まで責任をもって治療に当たる。治療は西洋医学と東洋医学(漢方)の長所を取り入れ、信頼できるネットワークを駆使して行う。慢性疲労症候群の診療にも取り組んでいる。

診療内容

「男と女は病気も治療法も違うのでは」と言い続け、1999年の日本心臓病学会で性差医療を提唱する機会を獲得。全国の「女性外来」や「男性外来」開設の牽引役を果たした。
性差医療が進んだアメリカでは20年以上前に発見された疾患に「微小血管狭心症」がある。日本では天野医師が1999年に行った調査をもとに、その存在を知らしめようと尽力しているが、依然として認知度は低い。心臓の血管が狭くなって胸の痛みが生じる狭心症や心筋梗塞は男性に多い病気とされてきたが、微小血管狭心症は更年期の女性の約1割がかかる女性特有の狭心症。胸などの痛みが長時間続くのが特徴。治療法も通常とは異なり、ニトログリセリンが効かない。命に直接関わらないが、生活の質の低下を招く原因になる疾患である。
「心電図やカテーテル検査をしても異常が見つからず、念のため、血管を広げる作用があるニトログリセリンを処方されても効かない。痛みがひどくて眠れず、耳鳴りや頭痛もつらいと訴えても、身体に異常はないのだからと精神科に行くよう勧められ、途方に暮れて、複数の医療機関を渡り歩くドクターショッピングをしている女性がたくさんいるはず」(天野医師)
いわゆる「高脂血症(脂質異常症)」も、男女差が激しい疾患の1つだ。コレステロールや中性脂肪値など、血液中に溶けている脂質の値が異常に高いと、動脈硬化を引き起こしやすくなることから、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症、大動脈瘤、脳梗塞など)を防ぐための薬物療法が必要だと言われている。ただ、それは男性を中心とした病態であり、女性の脂質異常症は、女性ホルモンのエストロゲンと密接な関係にあることがわかっている。特に、閉経する前の、若年~50歳までの女性の体はエストロゲンに守られているために、男性と同じような食習慣でも、家族性高脂血症は別として、脂質異常をまず起こしません。しかし、閉経後、急速にコレステロールの上昇が始まるため、コレステロール値が高いからといって、すぐにコレテロール低下薬などの薬を飲む必要はない。日本では、年間販売額で3,000億円を超えるコレステロール低下薬が処方され、その7割が意味なく女性に使われているという。
高血圧学会のガイドラインには適正値は125と書いてあるがこれは男性の適正値であり、女性の閉経前の血圧は110を割るぐらいが正常で、125もあったらその年齢の女性としては高い。ガイドラインは全て男性を中心としてできているので、女性にそれをあてはめてはいけないのだという。
更年期障害は、女性ホルモンが枯渇することによって起こってくるもの。更年期ならびに更年期以降の症状は本当に様々で、のぼせやほてり、イライラ、不眠、発汗だけではない。微小血管狭心症、白内障、動悸、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、高血糖、尿漏れ、頭痛、動脈硬化、骨粗しょう症…すべてに女性ホルモンであるエストロゲンの枯渇が関与している。ところが、こういった情報があまり知られていないため、女性たちは、調子が悪くなると、絶対病気と、ドクターショッピングが始まります。更年期を迎えた女性の体の変化をよく判っている医師が、あまりにも少なすぎるという。天野医師の診療は、予約する段階から始まる。
「まず長い経歴を書いていただきます。書いていただけなければ、私は診ません。いつどんな症状が出て、どういう病院にかかって、どういう薬が出て、効いたかどうかなど、全部書いて、送ってもらいます。それを読んだ上で、私が診療するかどうかお返事しています。ときどき私を産婦人科医と間違えている方もいますからね。産婦人科の疾患と判断したら、産婦人科を受診するよう、看護婦さんから電話してもらいます。まず、神経内科に行った方がいいのではと思う方もいます。そういう方には先に神経内科へ行ってもらい、そこでなんでもないと言われたら、改めて予約するよう返事をします。無駄足を踏ませたくないからです。それに経歴を書くことは、患者さん自身が、自分を整理し、理解する上でも重要です。どこに問題点があったのかがご自分でも、よく判りますからね」
初診は必ず、30分以上かけて行う。
「書いてもらったものを見ながら行います。どういうことを聞かなくてはいけないか、どういう治療の選択肢があるかなど、考えた上でお会いするのですが、それでも30分以上かかります。だいたいの患者さんは、こんなに話しを聞いてもらったことはないとおっしゃるし、身体に触ってもらうのも初めてといいますね。私は、腹診、聴診は必ずするし、また自分の専門外の領域で十分な診察と検査が必要と思った時には、私が最も信頼する先生たちに診てもらうよう紹介します。先生がたに診て頂いてお返事をもらう。そういうネットワークは必要です。一人で全部わかるわけじゃありませんから、そういう体制を作っています」
治療の基本は患者教育と西洋医学に加えて漢方薬を好んで使用する。
「教育は、なぜあなたの身体が具合悪くなってしまったのかをこんこんと話します。それが大事。西洋医学的判断がまず優先するのは、私の受けた医学教育が西洋医学ですので当然ですが、漢方薬を好んで使用するのは、漢方薬は患者さんに優しいからです。気・血・水のバランスの崩れによって起こった身体の不調を、まず整えるというところから始まります。心身一如という概念があり、心の不調は体に、体の不調は心に影響すると考えており、女性外来の患者さんを診ていますと、まさにその通りだと思います。不定愁訴または自律神経失調症と言われて片付けられている多様な症状に極めて有効です。女性の生理にまつわる不調やお産の諸症状にもよく効きます。また、100処方ぐらい知っていれば大方は解決できると気が付いて、女性外来をはじめたときから、全国の女性外来担当医師の先生方を対象に漢方の勉強会を津々浦々でやってきました」
天野医師は、全国の女性外来で診療を行っている「女医医師限定」で年4回、漢方の勉強会を開催している。今までに北海道から九州まで600人超える女性が漢方のセミナーを受講。九州から北海道まで全国で600人を超えたという。

医師プロフィール

1967年 東京大学卒業
1967年 インターン東京大学医学部付属病院
1968年 内科レジデントNew York Infirmary(米国)
1970年 循環器フェロー Royal Victoria Hospital(カナダ)
1974年 東京大学第二内科
1988年 東京大学保健センター講師
1994年 東京水産大学保健管理センター教授・所長
1996年 東京大学医学部非常勤講師
2002年 千葉県衛生研究所所長 兼 千葉県立東金病院副院長
2004年 鹿児島大学医学部非常勤講師
2005年 秋田大学医学部客員教授
2009年 静風荘病院特別顧問
2011年 千葉大学大学院薬学研究院客員教授
現在に至る

「更年期障害」を専門とする医師