本田雅敬 医師 (ほんだまさたか)

東京都立小児総合医療センター

東京都府中市武蔵台2-8-29

  • 腎臓内科
  • 院長

小児科 腎臓内科 内科

専門

小児腎臓病、小児透析

本田雅敬

本田雅敬医師はネフローゼ症候群、IgA腎症をはじめとした慢性糸球体腎炎から末期腎不全まで、すべての小児腎疾患の治療にあたる。信条は、どんな腎臓病であってもできるだけ生活(運動、食事)制限をせず、将来進学、就職、結婚へと進めるように、乳児期、幼児期、学童期それぞれに配慮できるよう診療を行うことだという。本田医師は、1981年に当時海外でも難しいと考えられていた乳児の在宅腹膜透析治療を日本で最初に行ったのをはじめ、小児腎不全患者の経験数は最も多い。その後も乳幼児の腎不全をはじめ重い腎臓病を数多く経験し、身体的なハンディだけでなく、心理的な発達のハンディを負わないようにして、将来健常人に近い成人に成れるように考えて診療してきた。この間、腎不全に成る重症のステロイド抵抗性の治療法の確立、溶血性尿毒症症候群の治療方針の確立などを実施。1986年には小児PD研究会(現小児PD・HD研究会)を立ち上げ、腹膜透析の全国の治療の標準化を目指してきた。1987年からは新たな治療法の効果の経験をもとに、ネフローゼ症候群の治療についての全国の臨床研究を中心となって行い1999年からは小児難治性腎疾患治療研究会代表世話人となって、わが国から世界へエビデンスを発信してきた。
日本小児腎臓病学会の前理事長、日本慢性腎臓病対策協議会副理事長として、特に小児慢性腎臓病対策を中心に学校検尿や3歳児検尿のあり方などで複数の厚生労働省の科学研究班などに属している。

診療内容

同科では、ネフローゼ症候群、IgA腎症をはじめとした慢性糸球体腎炎から末期腎不全まで、すべての小児腎疾患を対象としており、疾患によっては、泌尿器科、内分泌・代謝科など他科と協力しながら診療を進めている。
具体的には、3歳健診、学校検尿異常、急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症、先天性腎尿路異常 (低異形成腎、水腎症、膀胱尿管逆流症など)、嚢胞性腎疾患、膠原病に伴う腎疾患 (ループス腎炎など)、保存期腎不全、透析 (腹膜透析、血液透析)、高血圧症などが対象となる。
ネフローゼ症候群 :ネフローゼ症候群は、血液中の蛋白が尿中に大量に漏れ、血液中の蛋白が低下する疾患で、顔や全身にむくみ(浮腫)が生じる。90%の特発性ネフローゼ症候群は、ステロイドで効果があり5~7日ぐらいで尿蛋白が消失する。ステロイドによる副作用は多岐にわたり、副作用の出現を予測して副作用を少なくする治療法を心がけている。ネフローゼ症候群の約3分の1は頻回に再発し頻回再発型(ステロイド依存性を含む)とされている。またステロイドの効果が無い場合をステロイド抵抗性とされこの二つが難治性ネフローゼ症候群として問題である。どちらも薬の使用法が難しい。
頻回再発型ネフローゼ症候群では、ステロイド治療を軽減するための免疫抑制薬を併用する。免疫抑制薬はシクロスポリン、エンドキサン、ミゾリビンなどがあるが、使い慣れていないと副作用がでる。小児難治性腎疾患治療研究会代表として、本田医師たちの経験から副作用のない使用法を検討し、全国の治療の標準化に貢献してきた。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は10年で半分が腎不全(透析を必要とする)になっていたが、これも早期に免疫抑制薬などを使用する治療法を開発して、その80%以上を治療可能にしてきた。
IgA腎症:IgA腎症は、小学校高学年から中学生時期に発症する慢性糸球体腎炎の中で最も頻度の高い疾患で、学校検尿異常で発見されることが多い。発熱に伴って生じる真っ赤(真っ黒)な尿で気づかれることもある。
IgA腎症の一部には自然と尿所見が改善することもあり、また20年以上の経過で腎機能が悪化することも知られている。そのため疾患の重症度をしっかり見極めて、必要に応じて腎生検を行う。本田医師は小児IgA腎症治療研究会の副会長として、重症型小児IgA腎症でも70%はステロイドを中心とした多剤併用療法で完治することを全国で検討してきた。現在では、治療法さえ適切なら腎不全に至ることは極端に少なくなってきた。一方、軽い場合には副作用に気をつけなければいけないこの治療は推奨できないので、重症度の見極めが重要である。
紫斑病性腎炎:紫斑病性腎炎は、血管性紫斑病に伴って生じる慢性糸球体腎炎で、多くの場合、紫斑病発症から半年までの間に発症する。初期は血尿・蛋白尿が強くても、IgA腎症に比べると自然と消失する頻度が高いため、尿・血液所見の程度に合わせて注意深く経過を観察し、改善傾向が認められない場合に腎生検を行って治療方針を決定する。これも重症型にはIgA腎症と同様な治療を行うが、自然に軽快する頻度が高いため、その重症度を適切に判断することが重要である。
慢性腎不全:慢性腎不全は、腎臓の働きのなかでも老廃物を尿として廃棄する能力が不可逆的に低下した状態を示す。透析が必要なまでに低下した状態を末期腎不全、それ以前を保存期腎不全と区別している。
最近は、検尿異常が持続する段階から末期腎不全までの各段階を慢性腎臓病(CKD;chronic kidney disease)とまとめ、末期腎不全への進行を阻止することを世界レベルで取り組んでいる。
小児期の末期腎不全の原因は、生まれつきに腎臓・尿路に問題のある先天性腎尿路異常が最も多く、時に0歳から透析が必要になる。腎障害の程度により、早期に発見し治療すれば、末期腎不全に成る時期を延ばすことができるため、同院では適切な治療を行ってきた。また泌尿器科との協力のもとに必要な泌尿器科的な手術も数多く行っている。
小児期の透析の主体は腹膜透析といい、おなかに透析を行うためのカテーテルを挿入して行う。退院して自宅での透析を継続できるため、乳児でも入院せず、外来も月1回程度ですむ。
腎不全の治療には、透析(腹膜透析、血液透析)とともに腎移植(生体腎移植、献腎移植)がある。同院では多くの患者の腎移植を行い、その成績は全国平均よりもかなり優れている。発達・学校生活などさまざまな小児の特性、家族の生活の質などを考慮すると、腎移植の方が優れているため、腎移植に備えながら保存期・末期腎不全の管理を行う。
なお、同院は小児の在宅腹膜透析、移植とも日本で最初に行った病院であり、経験数も最も多く、スタッフも充実している。

医師プロフィール

1976年3月 慶応義塾大学医学部 卒業
1976年4月 慶應義塾大学小児科
1980年7月 東京都立清瀬小児病院腎内科
1998年7月 東京都立清瀬小児病院腎内科部長
2003年6月 都立八王子小児病院副院長
2007年4月 東京都立清瀬小児病院副院長
2011年3月 東京都立小児総合医療センター副院長
2014年4月 東京都立小児総合医療センター院長