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水虫は冬が完治のチャンス
~女性患者も増えている~ 医学博士 福田千晶

 水虫は真菌(カビ)の一種である白癬(はくせん)菌に感染することで起こり、正式な病名は「足白癬」です。水虫を有する人は多く、わが国では約2500万人と推測されています。男性がなりやすいイメージがありますが、最近では女性の患者さんも増えて、男女差は少なくなってきているようです。

 かつては、女性は家にいて靴を履いていない時間が長く、水虫になりにくかったのですが、女性の社会進出が進み、一日中ずっとストッキングやタイツと靴を履き続けているため、水虫になりやすくなったと思われます。

 水虫は病気という認識が乏しく、治療せず放置している人も多いのが現実です。また、治療にはやや長い期間がかかる、やっかいな病気でもあります。

ブーツの中は高温多湿

 ◇水虫の種類

 水虫は大きく分けて三つの種類があります。

(1)趾間(しかん)型: 指の付け根、足指と足指の間が白くふやけたり、皮がむけたり、ジクジクして赤くただれたりします。足指の間は、自分でよく見る機会が少ないため、皮膚がふやけた程度では気付かないこともあります。薬指と小指の間にできることが多く、かゆみを感じやすいタイプです。

(2)水疱(すいほう)型: 足の裏に小さな水膨れができます。水膨れが破れると、皮膚が乾燥して皮がむけ、かゆみを感じることもあります。一般的な水虫のイメージは、このタイプかと思われます。

(3)角質増殖型: かかとを中心に皮膚の角質が増殖して厚くなり、ひび割れてガサガサになったり、痛みを感じたりすることもあります。白癬菌の感染が原因とは考えず、角質が厚くなったか、ひび割れただけと思い、軽石などでこすってしまう人もいます。

 水虫は、このように種類もあり症状も異なるため、水虫になっていることに気付いていない人もいるのです。

 しかし、水虫は足から爪や指や体幹に広がることもあり、症状が進行して治りにくい状態にもなるので侮れません。生命を脅かす病気ではありませんが、糖尿病の患者さんなどでは、水虫が悪化して足を切断することになる場合もありますから、軽視はできません。 

 また、水虫は感染症ですから、早く完治しないと、家族など他人に感染させることもあります。なってしまうと意外にやっかいですから、感染予防がなにより大切です。

感染する前に足を洗って菌を落とす

 ◇こんな場面で感染する可能性がある

 水虫が感染する経路は、白癬菌を含んでいる多数の人が使う浴場の足拭きマット、畳、スリッパ、タオルなどを介して感染します。他には、健康的なイメージはありますが、素足で歩くスポーツ施設のロッカールームのカーペット、水虫とは縁がなさそうな、おしゃれなブティックの試着室のカーペットやエステサロンのシャワールームの足拭きマットなども感染経路になるかもしれません。

 しかし、足に白癬菌が付着してすぐに感染してしまうわけではありません。健康な皮膚なら、白癬菌が付いてから24時間くらいで感染します。足に傷があったりすると、12時間くらいで感染する場合もありますが、それまでの期間に足を洗って菌を落とせば、かなりの確率で予防できます。

 白癬菌もカビですから高温多湿を好みます。毎日同じ靴やブーツを履くと、内部は高温多湿になるので、白癬菌を持ち込んでいれば感染源になる可能性があります。履いたら陰干しする必要があります。靴やブーツは3足ほど用意して、ローテーションで履くようにしましょう。

足の裏や足の指の間を時々観察しよう

 ◇冬に治してしまいたい

 水虫は蒸し暑い梅雨や夏に発症したり、悪化したりすることが多いのですが、寒い冬でも厚手のタイツをはいたり、靴下を重ねばきしたりする人、ブーツを履いている人の足は蒸れています。そのため、個人差があり、冬に水虫になったり、悪化したりすることもあるので、これからの季節も油断はできません。

 一般的には、足の白癬菌は高温多湿の夏には増殖して増えます。白癬菌が足の皮膚の角質の下まで増殖すると、水膨れができたり、かゆみを生じたりして、水虫になっていると気付きます。しかし、冬には増殖が止まり、足の皮膚の白癬菌数は減少しているので症状が出ないこともあります。まるで、水虫がすっかり治ったかのように思うのですが、皮膚に白癬菌が残っていれば、高温多湿の頃になると白癬菌は増えて症状が出現します。

 治療の基本は、水虫の外用薬をつけることです。水虫の症状がある所以外にも白癬菌が存在していることもあるので、薬は足の裏に広く塗り、足の指と指の間にもつけておきます。爪に白癬菌が入り、爪白癬になるなど悪化した場合は、内服薬での治療が必要になることもあります。

 水虫の民間療法で「足を酢に漬ける」「薄めた漂白剤に漬ける」などありますが、皮膚の健康な部分を傷めるトラブルもあり、また傷んだ皮膚に白癬菌が広がることもあります。やめておいたほうがよいでしょう。角質増殖型の水虫を軽石でこすることも同様にNGです。

 実は、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症など、水虫にとてもよく似ている症状の皮膚疾患もあります。自己判断より、まず皮膚科できちんと診断をつけてもらい、正しい治療をすることが望まれます。水虫なら外用薬で治療すると、2週間ほどでかゆみなどの症状は改善されます。しかし、まだ白癬菌は残っているので、症状がなくなってから1カ月間は外用薬での治療を継続するべきでしょう。その人の症状などによりますから、皮膚科の主治医の指示に従い、治療を途中でやめずに、根気よく続けることが大切です。

 自分の足の裏や足の指の間をよく見たことありますか? 時々は足をよく観察しましょう。水虫を思わせる水疱や皮膚のふやけ、皮がむけている、かかとのガサガサなどがあれば水虫かもしれません。また、毎年、夏になると水虫になる人の足には白癬菌が潜んでいる可能性があります。冬の間に治療をすると、白癬菌の数が少なくなっている季節ですから、効率的に治療できると考えられます。今がチャンスです!!

 水虫は悪化すると足が腫れて靴を履けなくなったり、爪白癬になって爪が白く濁り、厚くボロボロの爪になったりして治療が難航するので、早めに治しておきたいものです。今年の冬は、ぜひ、根気よく治療を続け、水虫をすっかり治したいですね。(了)

福田千晶氏


 ▼福田千晶(ふくだ・ちあき)

 慶応義塾大学医学部卒業、医師として東京慈恵会医科大学病院リハビリテーション科勤務を経て、クリニックでの診療と産業医業務を行う。勤務医時代に、エッセーや論文のコンテストでの受賞などをきっかけに執筆活動も開始し、健康に関するテーマで著書や監修書は多数。

 日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会人間ドック健診専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本体力医学会健康科学アドバイザー。

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