岡田俊 医師 (おかだたかし)

名古屋大学医学部附属病院

愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65

  • 親と子どもの心療科(児童精神科)
  • 准教授

精神科 神経科 心療内科

専門

発達障害、チック(トゥレット症候群)、子どもの精神疾患一般

岡田俊

岡田俊医師の特徴は、発達障害のライフステージに応じた幅広い診療ニーズに応えていることだ。早期診断、薬物療法や行動面への介入に加え、これまで大学における支援や成人期の就労・生活自立、リハビリテーションまでを扱ってきた。活動範囲は、子育て支援機関や教育機関、さらに市民や医療関係者への情報提供活動などに及ぶ。臨床心理士でもあり、生物学的側面だけでなく、心理的側面にも造詣が深い。チック(トゥレット症候群)の治療に詳しい医師としても知られ、多くの患者が訪れている。

診療内容

発達障害は、できるだけ早くその存在に気づき、その特性に応じた療育的支援や教育・日常生活上の配慮が望ましいとされる。しかし、岡田医師は「発達障害と診断されると、親御さんにさまざまな発達障害や対応についての情報が提供されたり、療育を始めとするプログラムや治療がどんどんと進んでいく。しかし、実は、その前のところ、つまり障害があることを受け止めるところで親御さんがつまずいていることが少なくない。」と話す。岡田医師によれば、多くの親はわが子のどこかに違いや育てにくさがあることを感じている。その配慮すべき特性のことを「発達障害」と医学的に呼んでいるのであって、親がこれまで感じてきた特性に応じて、さらに工夫を重ねることが大切であること、そのことが心の中でしっくりといくまでのプロセスを丁寧に扱う必要があるという。この大切なポイントは『もしかして、うちの子、発達障害かも!?』(PHP研究所)のなかで扱われている。本書は、発達障害かもしれないと思った親、診断されたばかりの親のために書かれたものだ。
発達障害の受容の次には具体的な生活のなかでの問題が待ち受けている。岡田医師によれば「このような問題には、このように対応すればいい、といったお決まりの対処法はありません。その行動が起きた状況の細かな状況を確認しながら、その子の特性に照らして、なぜそのような行動をするのか親御さんと一緒に考えていく。そこが見えれば、対応は自ずと見えてくるのです」という。ときには、状況を改善させるためには、子の成長や、しかるべきタイミングを待つしかないこともある。周囲の大人が耐えきれず感情的な対応をすることで悪循環を来たしていることもあり、そのような親の心を支えたり、教育も含めた周囲の大人の対応、環境を調整することも医療の役割であるとのこと。このようなヒントは『発達障害のある子と家族のためのサポートBOOK 幼児編/小学生編』(ナツメ社)にまとめられている。
岡田医師は、発達障害の病態や治療について、その現状と課題を多くの専門誌や書籍にまとめている。岡田医師によれば「日々、発達障害の病態や診断・治療に関する情報は増え続けています。これらのなかには一貫性のあるものもあれば、相反するものもあります。その知見の確かさも様々です。これまでに明らかになっている事実から、目の前の臨床の問題について適切な判断を下すこと、それはすべてを医師が下すのではなく、いま明らかになっている情報を提供して親と子に選択してもらうことが大切」という。
「発達障害の支援の対象は、知的障害を伴わない人やその特性の軽度な人にも広がってきました。そのなかには、発達障害の特性以上に発達障害とともに生きることの困難のほうがもっと重大である場合もあります。あるいは、発達障害に合併する精神疾患のほうが、まず取り組むべき治療の課題であることもあります。発達障害の支援については、常に多面的な理解と多面的な支援が必要です」と岡田医師。特別支援教育の普及、さらには、発達障害者支援法に伴う発達障害者支援センターの設置など、発達障害のある人への支援の広がるなか、医療に課せられた役割も明確になりつつあるという。
岡田医師は、チック障害(トゥレット症候群)の治療に詳しい医師としても知られている。「トゥレット症候群は、軽症例を含めると1000人に1人ぐらいある比較的多い疾患です。しかし、多くのケースは通常の一過性チックのように『指摘せず様子を見る』という対応がなされていたり、心理的な疾患との誤解から心理治療のみが行われていることがあります。また、過去に受診したことがあるものの鎮静の強い薬剤が処方され『眠くて仕方がなかった』などの理由から治療から遠ざかっていることもあります。鎮静の少ない薬剤を使いながら治療しますが、症状が十分にコントロールできるケースもあればそうでない場合もあります。常に効果と副作用のバランスを考えながら最適な治療を目指します」と岡田医師。チックの症状は、成長とともに変化するほか、数ヶ月というなかでも変動したり、楽しいことや緊張する状況などでも変化するというが個人差も大きい。そのようなチックの波といかにつきあいながら日常生活を送っていくかを患者と共に考えるという。ここでも十分な情報提供とともに、患者とともに治療を決めることが大切であるという岡田医師の姿勢がうかがえる。

医師プロフィール

1997年5月~1998年5月 京都大学医学部附属病院精神科神経科研修医
1998年6月~2000年3月 医療法人光愛会光愛病院医師
2000年4月~2001年6月 京都大学大学院医学研究科博士課程(精神医学)
2001年7月~2006年3月 京都大学医学部附属病院精神科神経科助教
2006年4月~2006年6月 京都大学医学部附属病院デイケア診療部助教
2006年6月~2009年12月 京都大学医学部附属病院デイケア診療部院内講師
2010年1月~2011年3月 京都大学大学院医学研究科精神医学分野講師
2011年4月~2013年3月 名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科講師
2013年4月~現在 名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科准教授

「発達障害」を専門とする医師