長瀬隆英 医師 (ながせたかひで)

東京大学医学部附属病院

東京都文京区本郷7-3-1

  • 呼吸器内科
  • 科長 教授

呼吸器科 内科

専門

呼吸器疾患全般、COPD

長瀬隆英

長瀬隆英医師は、呼吸器疾患全般の診療・研究実績を豊富に持ち、老年医学の視点も取り入れたCOPD診療を実践。同病院の呼吸器内科では科長として、温故知新をモットーにチームを牽引し、診療科の充実を図ってきた。日常の診療だけにとどまらず、COPDの理解が一般の人々に広まらないことを危惧し、GOLD日本委員会代表理事としてCOPD認知度向上にも注力。禁煙推進にも積極的に取り組み、呼吸器疾患に悩む患者を減らすことをめざしている。

診療内容

長瀬医師は医学部を卒業後、老年医学を経て、現在は呼吸器内科でCOPDをはじめとする呼吸器疾患の診療を行う医師。自らの経歴について、長瀬医師はこう語る。「呼吸機能がピークを迎えるのはおよそ25歳で、誰でも加齢により低下します。そのため、高齢社会が進むにつれて呼吸器疾患による死亡が増えざるを得ません。老年医学の中にも呼吸器疾患があるので、私はCOPDを診るのに適した経歴を通ってきたように思います」。

現在、COPDに対するさまざまな治療薬が発売されているが、主流は吸入型の長時間作用型気管支拡張薬だ。これにより息切れが軽減するので、吸入薬は継続して適切に使い、身体活動性を維持・向上することが大切だと長瀬医師は話す。症状が安定している時も治療は継続するが、特に注意を要するのは増悪を起こした場合。増悪は症状の進行に直結し、COPDによる死亡の重大要因となるからだ。「増悪を起こすと、呼吸機能や生活の質(QOL)が落ちてさまざまな悪影響が出る上、一度低下した呼吸機能が元に戻らないまま重篤になることもあります。その場合は、必要に応じて入院治療も行います」(長瀬医師)。

重症度が進むと、外科療法や在宅酸素療法を行うこともある。在宅酸素療法の対象患者が最も多い病気がCOPDで、一定の延命効果が期待できるという。「在宅酸素療法は最重症の患者が行うため、COPD全体で見れば割合は多くありません。しかし、数自体は決して少なくなく、近年かなり普及した治療です。自宅で酸素を扱うとなると、地震などの災害が心配だと思うかもしれませんが、医療機器メーカーによるサービスはかなり充実しています。その意味では日本の医療環境は素晴らしいと思います」(長瀬医師)。

長瀬医師は日常の診療のほか、一般社団法人GOLD日本委員会では代表理事として、COPDの認知度アップにも力を注ぐ。COPDと診断される機会がないまま治療を受けていない人が多いため、まずはCOPDという病気を広く知ってもらうのが一番だという。「GOLD日本委員会は、COPDに関する知識や研究活動を普及することをミッションとして設立された法人です。タバコを吸う人も吸わない人にも、COPDを知ってもらうことを目標としています。家族が気づいて受診するケースもあるため、家族にも知ってもらわなければなりません。日本には呼吸器科の医師が多くないので、一般の医師にわかってもらうことも課題です」(長瀬医師)。

日本呼吸器学会で禁煙推進委員会委員長を務める長瀬医師は、禁煙推進にも力を入れている。「2020年の東京オリンピックに向けて、東京もロンドンのような禁煙体制とするべきだと考えています。ロンドンではパブの中では一切喫煙できず、吸った人には罰則がありました。どうしても喫煙したいならドアの外で喫煙する、これがオリンピックシティのあり方ではないでしょうか」。各方面に申し出て、ロンドンでできたことがなぜ東京でできないのかを強く主張しているという長瀬医師。2020年にどこまで禁煙が進み、COPDの認知度が高まり患者を減らすことができるか、取り組みが続く。

医師プロフィール

1983年3月 東京大学医学部医学科卒業
1983年 東京大学医学部附属病院医員
1986年 東京警察病院内科
1990年 カナダ、マックギル大学留学(~1993年)
2000年 東京大学医学部老年病科講師
2003年6月 東京大学大学院医学系研究科呼吸器内科学教授