X線検査

 レントゲンによるX線の発見から1世紀以上が経過し、X線検査は日常的にもっとも利用されている画像検査法の一つとして定着しています。
 X線の原理は、X線管球から発生するX線が人体組織を透過し、X線フィルムを感光させて画像化するもので、頭のてっぺんから足の先まで、骨・軟部組織を問わず、全身のあらゆる組織の検査に応用されています。
 最近ではX線フィルムを感光させる代わりに、多数のディテクター(検出器)でX線を検知させ、それをコンピュータ処理して画像化するCR(computed radiography)が普及しています。画像の濃淡、コントラストがディスプレー上で容易に変えられるため、1回の撮影で得られる情報が格段にふえ、詳細な検討が可能となりました。
 定期健診などの胸部X線撮影では、正面像だけ撮られるのが一般的ですが、心臓や横隔膜で肺の下方の部分が隠されてしまうため、医療現場では側面像を撮ることもかなり重要です。

 上部消化管(食道、胃、十二指腸)を見るには透視といって、X線を断続的に発生させてディスプレーで画像を確認しながら的確な画像を撮影します(胃透視、注腸造影)。空気と少量のバリウムを使って、胃や大腸の粘膜の変化を映し出す二重造影の技術は日本人による発明で、早期がんの発見に大きく貢献してきました。

 造影検査は消化管だけでなく、気管支、関節、膀胱(ぼうこう)、唾液(だえき)腺などあらゆる場所が撮影可能ですが、血管造影検査も有用な検査です。
 血管造影検査は血管内に細い管(カテーテル)を挿入し、目的とする血管にヨードなどの造影剤を注入して血管の走行、狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)の有無、腫瘍の陰影などを映し出します。下に示した腎臓の血管の造影像では、腎動脈の瘤(りゅう)様の拡張がみられます

 ヨードなどにアレルギーがある人ではショックを起こすなど危険なことがありますから、事前に医師にアレルギーの有無について伝えます。
 心臓の冠動脈造影は冠動脈の動脈硬化の進展度を見るための検査です。冠動脈までカテーテル(細い管)を進め、造影剤を注入して心臓の動いている状態や血液の流れを動画として記録して心臓の収縮の状態や狭窄の有無を見ます。狭窄が見つかると、その場でカテーテルに装着したバルーン(風船)をふくらませて、狭くなった内腔(ないくう)を拡張させる冠動脈拡張術、血管が狭くならないように専用のステント(網目状の細い筒)を狭窄部に留置する手法が施行できます。心筋梗塞(こうそく)を起こした救急の患者さんに対して、緊急検査としても実施されます。

 乳がんの診断に使われる乳腺撮影(マンモグラフィ)も普及しています。乳房をアクリル板ではさみ込むため、圧迫による痛みを感じるのが難点ですが、従来の触診による乳がん検診では見つからないような小さな乳がんを発見できることがあります。
 閉経前の場合、乳腺が発達している人では、乳腺が濃く映る(デンスブレスト:dense breast)ので見にくくなってしまいますが、閉経後ではがん発見にきわめて有用な検査です。