肺結核症〔はいけっかくしょう〕

 結核は飛沫(ひまつ:飛び散るしぶき)でヒトからヒトへ感染します。通常、吸入された菌が肺に侵入しそこで病巣をつくりますが、菌が全身に拡散し急激に重い症状にいたることもあります。優れた抗結核薬により治療が見込める病気となり、結核患者の発生も低下傾向を示していましたが、近年では高齢者の再発や結核菌に免疫のない若年者の新規発生により発病する患者数は横ばい状態となっています。その意味では、胸部X線検査による定期的な健康診断が欠かせない病気です。

[原因]
 結核菌が気管支から肺へ吸入されると、肺の中に数ミリの病巣をつくり、さらに菌は肺の中心部(肺門)のリンパ節にも病巣をつくります。これらの一群の病巣を初期変化群と呼びツベルクリン反応が陽転化します。一部の人はこれらの病巣によって結核が発症しますが、ほとんどの人は自然に治ってしまいます。
 しかし、これらの結核菌が肺の病巣部に封じ込められ残存していると、からだの抵抗力が弱まったりした場合にふたたび菌がふえて結核として発症します。ことに、副腎皮質ステロイド薬の使用、糖尿病、悪性腫瘍、人工透析をしている慢性腎臓病(CKD)、エイズ、大量の飲酒などが発症の要因となります。

[症状][診断]
 結核の初期症状は、午後から夕刻にかけての微熱、全身のだるさ、食欲の減退、体重減少などです。その後、進行するとせき、たん、血たんなどが出現します。
 診断は持続するせきやたん症状、胸部単純X線検査で肺の異常影を確認することをきっかけとします。診断を確定するには結核菌の証明が必要で、抗酸菌塗抹検査で抗酸菌(結核菌)の量を迅速診断します。核酸増幅同定法という結核菌の遺伝子を増幅させて検出する鋭敏な方法もありますが、死んだ菌でも陽性になるので補助的診断法にとどまります。
 抗酸菌培養法は8週間まで培養するので時間がかかりますが、生きた菌であることの確認と、抗菌薬としてなにが有効かを調べることが可能なため必須の検査となっています。

[治療]
 結核の治療は抗結核薬の使用により、症状の改善だけではなく結核菌を根絶することを目標としています。したがって、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ストレプトマイシン(SM)、ピラジナミド(PZA)、エタンブトール(EB)などの薬剤を各種組み合わせ、6カ月ないし9カ月あるいは12カ月の長期にわたり治療がおこなわれます。
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