のどの外傷〔のどのがいしょう〕 家庭の医学

 さまざまな外傷で起こります。
 やけどの場合、直接のどをやけどしたときはもちろんですが、ほかの部位のやけどのあとでのどがはれてくることもあります。激しくぶつけたあとや、ガスや薬物の吸引でも同様にあとからのどに影響があらわれる場合があります。呼吸苦や異物感、声の変化、痛みなどがそのサインです。
 交通事故でくびを強く打った場合などでも、声や呼吸に障害が起こる場合があります。事故の状況や受傷の状況を正確に医師に伝えるようにしましょう。
 のどの骨はやわらかい軟骨で折れにくいのですが、時に骨折することもありますし、のどの関節が脱臼(だっきゅう)する場合もあります。骨がつぶれた状態になると、食事はもちろん呼吸もできなくなります。この場合、気管切開をおこなったうえで、喉頭の形成手術をおこなうこともあります。いずれにしてもまずは声よりも空気の通り道としての呼吸機能が優先されます。呼吸の心配がなくなれば専門医を紹介してもらいましょう。
 外傷でくびから血が流れた場合は、周囲に助けを求め、呼吸ができる程度に圧迫して出血を抑えて救急車を呼びましょう。
 また、農薬、清掃用など極端なアルカリや酸を含んだ薬液などを飲み込んだ場合には、それらを吐き出して、もとに戻った印象があっても安心はできません。その後にそれらの物質による重篤な2次的な粘膜変化や全身変化も起こります。早急な処置が必要です。「なにを飲み込んだのか?」飲み込んだものを正確に医師に伝えることが大切です。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
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