声帯溝症、声帯萎縮症〔せいたいみぞしょう、せいたいいしゅくしょう〕

 加齢により皮膚のしわができると同様に、声帯もやせて(萎縮)、しわ(溝)ができる場合があります。慢性喉頭炎でも、声帯がかたくなり同様の症状をきたします。
 必ずしも高齢者に限りません。声帯溝症で若い人では極端に声がかすれるため、本人に原因はなくとも社会的にマイナスのイメージを受ける場合もあり周囲の人の理解が必要です。左右の声帯がしっかり閉じないため(声門閉鎖不全)、声がれのほかに、ふんばれない、疲れやすい、むせやすい、うまくせきでたんを排出できない、などの症状も出ます。高齢者など肺活量が減少して声に力がなくなる場合、症状はさらにひどくなります。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下では会話が減り、特に高齢者では起きやすい病態です。

[治療]
 まず音声訓練を試みます。声を出すときにのどに力を入れる自己訓練で、左右の声帯の閉じをよくします。改善しない場合、かつてはシリコンの注入やコラーゲンの注入でやせた分をふくらます治療がおこなわれましたが、現在は安全性の面から自家組織(自分の脂肪や筋膜)の注入や自家筋膜移植など声帯を再生させる試みがおこなわれています。

■新型コロナウイルス感染症による影響
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、口腔、咽頭、喉頭の激しい炎症が起きる場合が多く報告されました。その後に新型コロナウイルス感染症が治っても、声が出にくいなどの症状が残る人もいます。原因の多くは声を使用しなかったことによる声帯の萎縮や、痛みへの恐怖による心因性の発声障害です。このため社会生活に復帰して会話によるコミュニケーションが始まれば徐々に治ります。ただ、続くようなら一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。異常がなければどんどん声を出すようにしましょう(音声訓練は長寿社会の耳鼻咽喉科の項の図参照)。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター人工臓器・機器開発研究部 部長 角田 晃一
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