構音障害・構語障害〔こうおんしょうがい・こうごしょうがい〕 家庭の医学

 子どもで発音がはっきりしない場合と、高齢者でろれつが回らない場合があります。子どもの場合、粘膜下口蓋裂(こうがいれつ)や軟口蓋まひ、神経疾患などや発達・発育の遅れでもみられることがあります。「な、に、ぬ、ね、の」「ま、み、む、め、も」以外の発音で、鼻から空気が漏れる子どもやミルクが鼻からよく漏れる乳児の場合、軟口蓋の機能不全が考えられます。耳の聞こえがわるいため、発音がうまく学習できていない場合もあります。耳鼻咽喉科で聞こえの検査をしましょう。
 突然出現した場合、脳梗塞脳出血の初発症状のこともあります。嚥下(えんげ)障害や発声障害(嗄声〈させい〉)を伴うこともあります。数週~数カ月で徐々に悪化する場合は、のどや舌咽頭(ぜついんとう)、口蓋の腫瘍、神経や筋肉疾患の可能性もあります。
 舌小帯(ぜっしょうたい)短縮症では舌足らずの発音になります。

[治療]
 あきらかな口蓋裂(こうがいれつ)の場合、多くは出生時に発見され、形成外科で手術がおこなわれます。それでも発音がおかしい場合や、成長に伴いアデノイドが小さくなったときに発音が鼻に抜けたりする場合、鼻咽腔(びいんくう)閉鎖不全が考えられます。耳鼻咽喉科の医師とことばの教室の先生、言語聴覚士に相談して、言語の訓練や音声言語の改善手術などを選択します。いずれも気づいたら早めに耳鼻咽喉科を受診して適切なアドバイスを受けましょう。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
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