吃音〔きつおん〕 家庭の医学

 話し始めに同じ音がくり返しつまったり、音が長く延びたり、会話の途中でことばが出なくなったりする状態をいいます。これらの言語症状のほかに随伴症状として、発話努力の結果として手を振ったり、顔面がひきつったりする場合もあります。無意識に発話をしていて吃音が生じ、これに第三者が介入し注意をすることにより、会話に吃音を避けようとする意識的介入が入り、それまで意識しなかった吃音を意識するようになり、吃音が本格的に始まるとも考えられています。
 一般に2~4歳で始まり、子どもの吃音は母、父、本人の順でおかしいと気づくことが多いようです。
 開発途上の社会では吃音は少なく、文明社会では人種・言語を問わず、同率に出現するといわれています。男女比では男子に多く、男子に対するしつけの厳しさが原因とも考えられましたが、養育条件を一致させた研究でも男子に多くみられ、はっきりしません。年齢では3~5歳がもっとも多く、年齢とともに減少していきます。幼児期には自然に消えてゆく場合も多くありますが、お子さんの吃音が長く続いたり、それにより本人が話しにくさを訴えたりするような場合は、治療期間を考慮して小学校入学の1年半前に、地域の保健センターや小児科、耳鼻咽喉科、専門家である言語聴覚士に相談することをおすすめします。
 詳細に関しては国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究班が、2021年に幼児吃音臨床ガイドラインを作成し、公開されています。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
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