西部ウマ脳炎〔せいぶうまのうえん〕

 西部ウマ脳炎はトガウイルス科アルファウイルス属に属する西部ウマ脳炎ウイルスによりひき起こされる蚊媒介感染症です。自然界では鳥とイエカの間で感染環が維持されており、人やウマは感染蚊にかまれることにより感染します。
 人が感染した場合、多くは感染したにもかかわらず感染症状が出てこない不顕性感染か、5~10日間の潜伏期ののち軽度のインフルエンザのような症状を呈するだけですが、乳幼児や老人では脳炎症状を呈することがあります。胎盤を経由しての感染も成立し、その場合、胎児は脳壊死を起こし死に至るといわれています。
 アメリカの中央部から西部にかけて分布しており、日本国内での発生はこれまでありません。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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