ブルセラ症(波状熱)〔ぶるせらしょう(はじょうねつ)〕 家庭の医学

 ブルセラ属という細菌による人獣共通感染症の一種です。波状熱、マルタ熱、地中海熱などの名前でも呼ばれています。
 ブルセラ症は、感染動物の乳や乳製品の喫食、感染動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、 スイギュウ、野生反芻獣、およびまれにはアザラシ)やその死体、および流産組織などとの接触によって感染します。酪農・農業従事者、獣医師、食肉処理場従事者では職業的な感染のリスクが高く、実験室内感染もあります。
 潜伏期は通常1~3週間ですが、数カ月に及ぶ場合もあります。頭痛、関節痛、筋肉痛とともに、午後に高く夜間に下がる特有の熱がみられます。症状は軽症で自然治癒する場合もありますが、重症化することもあり、病気の期間は2~3週間から数カ月間です。
 ブルセラ菌にはテトラサイクリン系薬などの抗菌薬が有効ですが、リファンピシンやキノロン系薬などの抗菌薬を併用する場合もあります。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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