オウム病〔おうむびょう〕 家庭の医学

 クラミジア・シッタシイによる肺炎をいいます。
 クラミジア・シッタシイに感染したオウム、インコ、カナリアなどペットとして飼育される小鳥の糞便に大量に含まれる、クラミジア・シッタシイを吸引することで感染します。糞便を処理する際に空中に散布され、空気感染するものとされています。家族内の集団発生の報告もみられますが、人から人へ感染するというより、飼育した小鳥の糞便から家族に感染したものと考えられています。
 クラミジア・シッタシイに感染した小鳥は、以前は死亡するものと考えられていましたが、必ずしも死亡するとは限りません。飼育している小鳥に一見異常がなくても、感染の心配がないとはいいきれません。せき、喀(かく)たん、発熱などの呼吸器疾患症状で受診するときには、「自宅で小鳥を飼育している」「近くに小鳥を飼育しているペットショップがある」「小鳥を飼育している家に遊びに行った」など、どんなささいなことでも医師に伝えるようにしましょう。
 診断は咽頭ぬぐい液、喀たん、血液からの病原体の分離、病原体遺伝子の検出、血中特異抗体の検出によりおこないます。
 テトラサイクリン系の抗菌薬が有効ですが、多くの医師が発熱患者に外来で最初に投与するペニシリン系やセファロスポリン系の抗菌薬はまったく無効です。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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