Dr.純子のメディカルサロン
円錐角膜を知っていますか?
~頻度は網膜剥離の5倍~ 井手武・東京ビジョンアイクリニック阿佐ケ谷院長
海原 円錐角膜というと肉眼で分かるような形状変化がありそうに聞こえますが、そういうわけではなく、視力が左右で異なったり、乱視がひどくなったりした場合、要注意なのですね。なんだか私も不安になってきました。先生はこの病気の治療を専門的になさっていますが、何かきっかけなど、あったのでしょうか。
井手 眼科医になったのは、自身が幼少時に遠視性弱視に対して継続的に眼科を受診していたのがきっかけです。さらに、眼科医になって自身が検査を受けると、円錐角膜を有することが分かり、進行の可能性にドキドキした思い出と、前職で多くの円錐角膜の患者さんを診察する機会を頂いたことがきっかけです。
井手 円錐角膜は多くの教科書に非炎症性の疾患と記載されていましたが、炎症の関与を示唆する研究結果が多く出てきています。目をこすらない、アレルギー性結膜炎の治療などをしっかり行うなどに注意することが大切かと思います。
パソコンの使用が直接進行させるという研究結果は存じませんが、VDT(VISUAL DISPLAY TERMINAL)作業がドライアイを引き起こし、2次的に炎症を招き、その結果、円錐角膜が進行するということも理論的にはあり得るので、ドライアイ対策も良いかもしれませんね。
◇視力低下が著しいときは角膜移植も
井手 軽度な症例であると、眼鏡やソフトコンタクトレンズといった、入手しやすい補助具で視力矯正が可能となります。しかし、進行症例ではハードコンタクトレンズや円錐角膜用特殊レンズ、またはハードレンズとソフトレンズの2枚重ね(ピギーバック法)などが必要になります。
進行がない場合で矯正視力が良好の場合には、有水晶体眼内レンズという、眼の中に人工水晶体を入れる手術が適応になります。
矯正視力が中程度の場合、形状の非対称性を改善したり、コンタクトレンズ装用感を向上させたりするために、角膜の層間に角膜内リングを挿入する手術が適応になります。
(2018/07/20 10:30)