FEATURE レポート紹介

インパクト与える国際会議
=ネットワーク構築が目標-AMSA Japan=

 AMSA(Asian Medical Students’ Association)は1985年に設立された、アジアの医学生を中心とした国際学生団体だ。「医学生同士のヒューマンネットワーク」を築くことを目標に、「Knowledge」「Action」「Friendship」の3つの理念を掲げている。2017年7月時点で27カ国の学生が参加しており、日本ではAMSA Japanが活動している。
医学生の紹介写真

左から自治医科大4年の岩瀬 翔さん、
千葉大4年の南 研人さん、筑波大4年の黒田英里さん

全国から医学生が参加

AMSA Japanは、役員と正会員を合わせて全国300人以上の医療系学部生が所属する大型サークルだ。学生同士が親睦を深める国内交流会や、関東や関西など全国4地域で新入生歓迎会(説明会)を開催し、新しい友人や考え方を見つけることができるコミュニティーとして機能している。
 AMSAは、学生同士を結ぶネットワークを活用して情報収集を効率化し、将来的にはアジア地域での医療貢献の一助となることを目指している。その活動を語る上で欠かせないのが国際会議だ。
 国際会議は夏と冬の年2回、AMSAに学生が参加している国々で開かれ、毎回約400人が集まる。会期は約1週間で、テーマごとの論文発表や英語によるディスカッション、開催国の医療事情を学ぶワークショップなど、さまざまなプログラムが用意されている。国際学生団体ならではの規模と内容だ。
 国際会議の門戸は開かれており、AMSAに加入していなくても、医学生なら誰でも参加できる。当然、まとまった時間と費用が必要になるが、「参加して後悔している学生は一人もいないと思います」とAMSA Japan代表の南研人さん(千葉大4年)は話す。

考え変わるきっかけに

国際会議をきっかけに、AMSA正会員になった学生も少なくない。黒田英里さん(筑波大4年)もその一人。
 「私は積極的に発言するタイプではなく、どちらかと言えば控えめな人間でした。でも、シンガポールで開催された国際会議に参加して意識の変化を実感しました。海外の学生は自分の意見をしっかりと持っていて『自分の国はこうだけど、あなたの国はどう?』と積極的に接触してきます。その行動力に感化され、『AMSAに入って本気で活動してみよう』と思いました」
 代表の南さんは自分の視野が広がると同時に、海外医療に対する考えが変わったという。
 「もともと海外に興味がなかったので、先輩からインドネシアの国際会議に誘われたときも、最初はやんわりと断りました。でも熟考の末、『いいタイミングではないか』と思い直して参加。それ以来『もっと海外を知りたい』と思うようになり、計4回も国際会議に出席しています。そもそも国際的な団体だとは知らず、誘われるがまま在籍していたのですが、今では海外医療に興味を持ち、代表まで務めているのですから不思議です」

シンガポールで開催された国際会議の集合写真

2015年7月にシンガポールで開催された国際会議の集合写真。
27か国から数百人の医学生が参加した

人と人のつながり、その可能性を信じて

価値観を変えてしまうほど、大きなインパクトを与えてくれる国際会議。しかし、大切なのはその経験をどう生かしていくかだ。
 「カリキュラムの都合で、参加したくてもできない学生はいると思います。そこで、国内交流会では国際会議と同じテーマを設けてワークショップなどを行います。自分たちが得た貴重な経験を還元するイメージですね」(南さん)
 また、岩瀬 翔さん(自治医科大4年)はこう話す。
 「AMSAでは、『人と人とのつながり』の大切さを学びました。医学部以外の学生と交流するためにダンスも始めました。また、他の医療系サークルや団体のイベントには積極的に参加するようにしています。つい先日、災害医療に興味がある学生に日本DMASの方を紹介しました。人と人をつなぐ媒介になれたことは大きな喜びでした。まさにAMSAの目標でもある『ヒューマンネットワークの構築』の実践ですね」
 岩瀬さんは、「これからも国内外問わず、多種多様な学生と交流を図っていきたい」と抱負を語る。ヒューマンネットワークによって、さまざまな人助けや地域貢献が可能になると信じている。たった1週間かもしれないが、人生の分岐点になる可能性を秘めた国際会議。少しの勇気が自分を変えてくれる、そんな機会がAMSAにはある。

AMSA Japanのイベント写真

2017年2月に開催したAMSA Japanのイベント。
AMSA JapanのOB・OGである医師も参加

東アジア医学生会議2017の写真

東アジア医学生会議2017の様子。自分たちで作成した学術的なポスターについて各国の参加者の前で発表している