山本有紀 医師 (やまもとゆき)

和歌山県立医科大学附属病院

和歌山県和歌山市紀三井寺811-1

  • 皮膚科
  • 准教授、副科長、皮膚外科主任

美容皮膚科 皮膚科

専門

腫瘍皮膚外科、ケミカルピーリング

山本有紀

皮膚外科治療、およびケミカルピーリングにおけるエキスパート。美容目的はもちろんのこと、皮膚がん治療としてフェノールを用いるケミカルピーリングにも詳しい。日本美容皮膚科学会が医師向けに作成する「ケミカルピーリングガイドライン」の初版からの執筆者の一人でもある。やけどや潰瘍の治療に用いる人工皮膚といった最新治療の開発・研究にも取り組むほか、学会での研究発表、厚生労働省プロジェクトへの参画、製薬会社との共同調査など、研究者としても多数の実績をもっている。

診療内容

化学薬品を塗って古い皮膚をはがし、健康な皮膚の再生を促すケミカルピーリング。ニキビ痕やシミの治療、皮膚の若返りなど、美容目的で行われることの多い医療行為の一つである。「ピーリングは皮膚の自然の治癒力を応用した再生治療です」と山本医師が話す通り、薬液(グリコール酸やサリチル酸)を塗って数分後に落とすことで、古い皮膚がはがれて新しい皮膚が再生するプロセスを繰り返すものである。これによりニキビやシミ、くすみ、ちりめんジワなどが改善する。中等度のニキビであれば、平均5~6回繰り返せば一定の効果が期待できるという。
ピーリングは、薬液の種類や濃度・酸性度・薬を作用させる時間などによって、皮膚に浸透する深さが変わるために、治療目的にあった薬液と方法を選択する。「欧米の人に比べると、日本人を含みアジアの人はピーリング後の色素沈着ができやすい傾向があります。そのため深い治療は慎重に行う必要があります」と山本医師は話す。美容目的の場合、日本では通常、深くても表皮までにとどめるという。 ピーリングといえば一般的には美容目的というイメージが強いが、現在では皮膚がん治療でも活用され始めている。同院では皮膚表面に とどまる早期の皮膚がんをピーリングによって除去する試みを2001年からスタートした。美容目的のピーリングでは刺激が穏やかなグリコール酸などを 用いることが多いが、同院の皮膚がん治療では、細胞死を誘導する効果が強い フェノールを使っている。同院の報告によると、施術を受けた早期皮膚がん患者のうち、約8割については再発が見られなかったという。ピーリングは綿棒で薬剤を肌表面に塗るだけ、わずか数秒で終わり、毎月1回の施術を数か月繰り返して効果が得られる。痛みも一瞬で済み、治療後の自宅での処置も不必要なため患者のストレスも少ない。「現在、皮膚がんの患者は増加傾向にあります。手術や入院をしなくて済むケミカルピーリングは、今後は施設や在宅への訪問治療として利用できる可能性があります」(山本医師)
厚生労働省が2000年に「ケミカルピーリングは医業に該当する(=医療行為である)」と明言したように、ケミカルピーリングを安全に実施するには皮膚科の専門知識が欠かせない。しかし残念なことに、それ以降もエステサロンなど非医療者による ピーリングで炎症や腫脹などの被害が相次いだため、日本美容皮膚科学会は「ケミカルピーリングガイドライン」を作成した。その執筆陣の一人として加わったのが山本医師である。「ケミカルピーリングは皮膚科学に基づいた治療であり施術です。そのため皮膚の生理や解剖を熟知した皮膚科が主導的立場を発揮すべきと認識されながらも、まだ制度の整備は不足しているのが現状です。その中心的役割を担うガイドラインはさらに質の高いものへ、そして実際の診療で役立つ施術ガイドラインへと改正される予定です」(山本医師)
さらに、山本医師はやけど治療のための人工皮膚の臨床研究に参画するなど、最新の治療法開発にも意欲的である。「現在のところ、あらゆる治療を試しても治らない潰瘍の患者にとって、人工皮膚は最後の手段と言えます。人工皮膚を用いれば手術回数が半減するうえ、患者の身体的・精神的負担も減ることが期待されます」(山本医師)。患者の負担を最小限にとどめる最新治療の開発に今後も期待したい。

医師プロフィール

1990年3月 高知医科大学 卒業
1999年 和歌山県立医科大学医学部 助手
2004年 和歌山県立医科大学医学部 講師
2007年 和歌山県立医科大学医学部 准教授

「美容皮膚科」を専門とする医師