高橋英俊 医師 (たかはしひでとし)

旭川医科大学病院

北海道旭川市緑が丘東二条1-1-1

  • 皮膚科
  • 講師

美容皮膚科 皮膚科

専門

乾癬

高橋英俊

高橋英俊医師は乾癬治療及び病態研究のエキスパート。乾癬における表皮細胞増殖の機序と免疫担当細胞の関与についての研究を進める。本邦初となる乾癬患者と肥満との関連研究において、乾癬患者ではBMI及び体脂肪率、内臓脂肪が健常人に比べて高く、乾癬重症度とBMIとが正の相関関係にあることを明らかにした。メタボリック症候群との関連においても合併症が多い患者ほど乾癬の重症度が高いことがわかり、体重コントロールが乾癬のみならず、メタボリック症候群の改善にもつながると指摘している。

診療内容

同院皮膚科は道北、道東(オホーツク沿岸地方)を中心とした皮膚科のセンター的な役割を担う地域医療の要であり、湿疹皮膚炎などの一般皮膚疾患に加え、悪性腫瘍、アトピー性皮膚炎、膠原病、角化症・水疱症、乾癬、美容皮膚科などを担当する専門医による専門外来(完全予約制)を実施している。診断にあたっては病理組織診断まで院内で対応可能なことも強みの1つである。
外来および入院患者数はそれぞれ年間30,000人(延べ数)、8,000名(延べ数)に上り、年々増加している。
同科では日本乾癬学会理事長を歴任した飯塚一教授が科長を務めることから、平成7年と早くから「乾癬外来」を設置し、述べ600人近くの乾癬患者が登録、多数の患者を専門外来として治療してきた。高橋医師は飯塚教授のもと乾癬の臨床経験を積むと同時にその病態研究に取り組み、同院の乾癬外来の主力医師としてその手腕を発揮している。
乾癬は欧米では罹患率が約2%と患者数が多く“乾癬(かんせん)=皮膚病”と言われるほどである。それに比べ我が国の患者数は0.05~0.1%と少ないが、昭和40年代以降、食生活の欧米化などにより増加の一途をたどっており、現在、十数万人の患者がいるといわれている。男女比が2:1と性差があることも日本の乾癬患者に特徴的なことで欧米では見られない。
乾癬は尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬の5型に分類され、日本では患者の90%が尋常性乾癬である。
乾癬の症状としては皮膚が扁平に赤く盛り上がり、盛り上がった部位の表面に銀白色の鱗屑が付着し、ボロボロとはがれ落ち、その下の皮膚には点状出血が見られる。被髪頭部や四肢の伸側、腰臀部などのほか、爪甲にも点状陥没などの変化を伴う。約半数には痒みが伴う。
乾癬発症の原因は明らかではないが、ウィルスや細菌、カビ等ではないので人にうつる心配は一切はない。
乾癬は根治する方法が未だ解明されていず、対症療法が主体となっているが、近年、その病態研究が進み、生物学的製剤などの優れた治療法が開発されており、症状を緩和する治療法は日々進歩している。
治療法は外用療法、紫外線療法、内服療法があり、単独、または組み合わせて治療する。重症例では内服薬(ビタミンA酸内服療法{レチノイド}、免疫抑制剤{シクロスポリン}、MTX{細胞増殖を抑制する})のほか、生物学的製剤も用いる。
同院では外用療法を基本に、全身照射用のnarrow-band UVB(紫外線照射)治療と、手掌足底用照射装置・頭部用照射装置・四肢用装置によるPUVA療法(紫外線照射)のほか、重症患者に対しては、シクロスポリン、エトレチネートといった全身投与のほか、生物学的製剤(抗TNF-α製剤、抗IL-12,23p40製剤など)による最先端治療も多数行っており、多くの治療成果を報告している。
外用療法は最も適応範囲が広く、基本となる治療法である。外用薬にはステロイド外用薬とビタミンD3外用薬があり、それぞれにメリット、デメリットがある。ステロイド外用薬は効果発現が早く、剤形が豊富で薬剤費が安価なことから乾癬患者に頻繁に使用されている。しかし、長期連用により皮膚萎縮、毛細血管拡張、真菌感染などの副作用が懸念される。一方、ビタミンD3外用薬は効果発現や費用の面ではステロイド外用薬に劣るものの、皮膚萎縮や毛細血管拡張等の副作用がなく、比較的長期の寛解維持が可能であるため、最終的にはビタミンD3外用薬の単独治療を目指す。両者を組み合わせて使う(朝晩の塗り分けなど)ことで、相互に欠点を補い合うことが知られている。ただ、患者が決められた用法に従って外用薬を用いなかったり、塗布を怠ったりすると期待するような治療効果が得られない。
「外用による煩雑さやべとつき、着衣の汚れなどの理由から、患者が決められた通りに外用薬を塗布しない場合がありますが、そうなると治療効果が得られなくなってしまいます。ですから、外用薬治療では患者の協力がなによりも重要なのです」(高橋医師)
ビタミンD3外用薬も軟膏、クリーム、ローションタイプと剤形が揃っており、とくにローションタイプはその使用感の良さから被髪頭部、顔面へも適応となっている。高橋医師らはさらにそれ以外の部位に対しても有効かつコンプライアンス(患者の服薬遵守)がよいことを報告している。このことから、高橋医師は患者、部位、症状にあった剤形選びが重要であることはもとより、コンプライアンス向上に剤形のタイプが影響していることを示唆している。
「コンプライアンスを良好にするために患者の治療への理解が重要であることはもちろんですが、医師と患者とが一体となって治療法を選択していくことで、患者の治療へのモチベーションを高めることが重要だと考えます」(高橋医師)
乾癬患者に肥満傾向が見られるということが以前からいわれており、メタボリック症候群との関係でも、乾癬患者においても糖尿病、高血圧、高脂血症の合併が多いことが海外から報告されている。高橋医師は日本人についての調査研究としては初めての試みを、旭川医大皮膚科乾癬外来通院中の患者を対象に行った。結果は乾癬患者は健常人に比べBMI(Body mass index)、体脂肪率、内臓脂肪が高く、乾癬の重症度と肥満の関係ではBMIとPsoriasis Area and Severity Index(PASI)スコア(紅斑、浸潤、鱗屑などの皮膚所見の程度と罹患部位の面積と部位による加重を算出しスコアにしたもので乾癬の重症度をあらわす指標)との間に正の相関があることを明らかにした。このことから高橋医師は乾癬患者において体重コントロールが乾癬治療に際して重要であることを指摘した。また、メタボリック症候群を合併した乾癬患者の方が乾癬の重症度が高く、乾癬患者において心筋梗塞、狭心症などの動脈硬化性病変の合併が多いこともわかった。メタボリック症候群において内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインと総称される生理活性物質(アディポネクチン、TNF-アルファ、レプチンなどがある)の産生異常がさまざまな疾患を引き起こすと考えられているが、乾癬の患者においてもアディポサイトカインの分泌異常があり、このことからメタボリック症候群の合併が多いことが説明できる。
高橋医師は乾癬患者の診療に際して体重コントロールなどの生活指導が乾癬の治療のみならず、生活習慣病の予防に重要であるとし、肥満の乾癬患者には減量についても治療の一環として捉えていく必要があることを指摘している。

医師プロフィール

1985年 旭川医科大学 卒業
1989年 旭川大学大学院卒業、米国オレゴンヘルスサイエンス大学リサーチフェロー
1990年 旭川医科大学皮膚科助手
1992年 名寄市立病院皮膚科医長
1993年 旭川大学皮膚科助手
1996年 旭川大学皮膚科講師

「美容皮膚科」を専門とする医師