中丸裕爾 医師 (なかまるゆうじ)

北海道大学病院

北海道札幌市北区北十四条西5丁目

  • 耳鼻咽喉科
  • 診療准教授、講師

耳鼻咽喉科

専門

副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻副鼻腔手術、アレルギー性鼻炎、耳鼻咽喉科領域の自己免疫疾患(ウェゲナー肉芽腫、再発性多発性軟骨炎など)

中丸裕爾

内反性乳頭腫などの鼻副鼻腔良性腫瘍への手術や、アレルギー性鼻炎および好酸球性副鼻腔炎の臨床研究が主な研究テーマ。アレルギー性疾患に関しては北海道ならではのシラカバ花粉症の飛散予測・治療に詳しく、重症例へのレーザー治療実績も豊富である。鼻副鼻腔良性腫瘍においては患者の負担を軽減すべく手術用ナビゲーションシステムを用いた低侵襲で再発の少ない手術を目指す。道内の新聞で患者相談コーナーを担当する機会もありわかりやすい解説に定評がある。

診療内容

中丸医師の専門は副鼻腔手術。なかでも日常の診療や学会等で最も多く扱うのは「内反性乳頭腫」である。これは良性の副鼻腔腫瘍で特に中高年の男性に多い。良性であるにかかわらず10%が悪性化する腫瘍である。手術を行っても再発しやすいのが特徴で、2~3割が再発するという。そのため手術後も数年間にわたって経過観察する必要がある。
この治療について中丸医師は次のように語る「従来は顔(眉の上や鼻の横など、腫瘍の部位によって異なる)を切開して手術していましたが、現在では鼻内から内視鏡で低侵襲に切除する内視鏡下手術がメインに行われています。内反性乳頭腫は腫瘍であるために薬物療法はなく、良性腫瘍なので抗がん剤も効きません。手術による完全摘出が必要となる訳です」
また、中丸医師は副鼻腔手術として「好酸球性副鼻腔炎」の治療にあたる機会も多い。好酸球性副鼻腔炎は最近増加傾向にある新しいタイプの副鼻腔炎で、こちらも内反性乳頭腫と同様、手術を行っても再発率が高い病気である。難治性の病気で大人に多い。松ヤニのような粘性を持った鼻水が出て鼻での呼吸が難しくなるうえ、早期から嗅覚障害も発現する。こうした症状には日頃からのケアが重要だと中丸医師は指摘する。「好酸球性副鼻腔炎は喘息が鼻の中にあるような感じになります。通常の副鼻腔炎と異なり、好酸球性副鼻腔炎は鼻の中や副鼻腔にポリープ(鼻たけ)を生じやすいのが特徴です。増えてしまった鼻茸は内視鏡手術で除去できるものの、放置すると大部分が再発します。手術だけに頼らず、本人がきちんと日常的にコントロールし続けることが欠かせません」。それでは好酸球性副鼻腔炎への薬物療法はどうなのだろうか。中丸医師によると「好酸球性副鼻腔炎は細菌感染ではないため抗生剤が効きません。日常のケアと並行して使用するのは、炎症を抑えるステロイド点鼻薬です」という。ステロイドと聞くと「副作用があるのでは?」と使用を躊躇する人も少なくないだろう。しかし点鼻薬に含まれるステロイドはごく微量である。成分の大半は鼻の中で分解されるため、さほど心配する必要はない。
北海道という土地柄、中丸医師は地域特有の「シラカバ花粉症」についても見識が深い。「スギ花粉が道南に限定される北海道では、シラカバ花粉症がよく見られます。スギ花粉と異なり、シラカバ花粉の飛散時期は4月~6月でOral Allergy Syndromeという口腔アレルギーが合併する頻度が高いという特徴を持ちます。例えばリンゴを食べて口の中がかゆくなるなど口腔の症状が出るものです」
現在では道立衛生研究所がかなり力を入れて予報を出すようになったが、数年前までは中丸医師自らもシラカバ花粉の飛散予測を行っていたという。現在も地域に根差した、患者目線の治療に取り組んでいる。

医師プロフィール

1990年3月 北海道大学医学部卒業、市立釧路総合病院、倶知安厚生病院、市立札幌病院、北大病院医員を経て
2001年 北海道大学病院助手
2004年 ロンドンインペリアルカレッジ留学
2007年7月 北海道大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学講師
2010年4月より現職