医師の紹介
診療内容
「副鼻腔炎は、耳鼻咽喉科において最も診療する疾患であり、古くから病態と治療の多くの研究がなされています。薬や洗浄で治らない人や何度も繰り返す人は手術が必要となりますが、最近では副鼻腔炎手術に内視鏡が導入され、細部まで死角なく繊細な手術操作が行えるようになっております。また手術支援機器の開発により、シェーバーシステム、ナビゲーションシステムなどを使い、手術操作を安全にかつ容易にしております」
具体的には、慈大式内視鏡下鼻内副鼻腔手術(Endoscopic sinus surgery : ESS)という手術を施行。これは以前の鼻根治術とは異なり、各副鼻腔を単洞化させ、換気と排泄を促し、薬物療法を加えて、副鼻腔粘膜の再生を促す目的で行われる。的確で繊細な手術方法であり、この術式を取り入れて以来、同科で扱う症例数は約3倍に増加したそうである。なお、症状にもよるが、入院期間は約7日ほど。
従来の副鼻腔炎に比べ病変が篩骨洞優位に出現するため、早期に嗅覚障害が出現しやすく、しばしば喘息を合併するのは「好酸球性副鼻腔炎」。現在のところ「難治性副鼻腔炎」に属されており、ESSを施行しても従来の副鼻腔炎に比べ、予後は悪い。しかし、積極的に手術療法を行い、術後ステロイドの投与、自宅で生理食塩水を使っての鼻洗浄や抗アレルギー薬の服用により、術後1年では嗅覚障害をはじめとする鼻症状の改善を維持しているケースが多いという(再燃の危険性があるため、定期的な外来にての経過観察が必要)。また、最近では好酸球性副鼻腔炎の再燃や、以前の不十分な手術などが原因で、新たに手術治療の対象になっている症例が増加しているという。
「再手術例は鼻副鼻腔形態異常や出血しやすいなど、初回例に比べESS手術の難度が高くなります。こうした難易度の手術の危険を回避するためにも、先進医療であるナビゲーションシステムは非常に有効なのです」(春名医師)
春名医師らは臨床的症例を積み重ね、再手術症例の因子も検討しているという。
「さらに内視鏡下手術の適応拡大として、鼻アレルギーへの適応(翼突管神経切断術)や眼窩内病変へのアプローチ、下垂体腫瘍などへの応用と大学病院として高度な医療を率先して行っております。一方、副鼻腔炎の病態も化膿性の副鼻腔炎は軽症化し、変わってアレルギー因子を含んだ副鼻腔炎が指摘され、病態を複雑化しております。そのような状況の中で私たちは鼻副鼻腔疾患専門外来を設置し、適切な検査・治療、適切な情報を提供できるようにしています」(春名医師)
医師プロフィール
1987年4月 東京慈恵医科大学耳鼻咽喉科研修修了
5月 東京慈恵医科大学耳鼻咽喉科助手
1991年9月 米国ミネソタ大学留学
1994年1月 同愛記念病院耳鼻咽喉科主任
1997年7月 東京慈恵医科大学耳鼻咽喉科講師
2005年11月 東京慈恵医科大学耳鼻咽喉科助教授
2006年4月 獨協医科大学耳鼻咽喉科主任教授
「慢性副鼻腔炎」を専門とする医師
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朝子幹也 医師 (あさこみきや)
関西医科大学総合医療センター
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 診療部長 教授
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池田勝久 医師 (いけだかつひさ)
順天堂大学医学部附属順天堂医院
耳鼻咽喉科 主任教授
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市村恵一 医師 (いちむらけいいち)
石橋総合病院
耳鼻咽喉科 統括理事・病院長
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鴻信義 医師 (おおとりのぶよし)
東京慈恵会医科大学附属病院
耳鼻咽喉科 診療副部長
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神尾友信 医師 (かみおとものぶ)
神尾記念病院
耳鼻咽喉科 院長、理事長
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黄川田徹 医師 (きかわだとおる)
鼻のクリニック東京
理事長
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菊地茂 医師 (きくちしげる)
埼玉医科大学総合医療センター
耳鼻咽喉科 副院長 教授 診療部長
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児玉悟 医師 (こだまさとる)
大分大学医学部附属病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 外来医長、講師
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近藤健二 医師 (こんどうけんじ)
東京大学医学部附属病院
耳鼻咽喉科 准教授
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出島健司 医師 (でじまけんじ)
京都第二赤十字病院
耳鼻咽喉科 副院長 部長
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中丸裕爾 医師 (なかまるゆうじ)
北海道大学病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 准教授・診療教授
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野中学 医師 (のなかまなぶ)
東京女子医科大学病院
耳鼻咽喉科 教授・講座主任
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比野平恭之 医師 (ひのひらやすゆき)
昭和大学江東豊洲病院
耳鼻咽喉科 客員教授