菊地茂 医師 (きくちしげる)

埼玉医科大学総合医療センター

埼玉県川越市鴨田1981

  • 耳鼻咽喉科
  • 院長補佐
  • 教授 診療部長

耳鼻咽喉科 アレルギー科

専門

アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、中耳炎

菊地茂

副鼻腔炎診療治療は、以前上顎洞の手術を行う際は歯茎の上部を切開していたので大きな負担がかかっていたが、現在では副鼻腔炎に対する薬物療法としてマクロライド療法が常識となった。菊地医師は1991年に副鼻腔炎へのマクロライド抗菌薬の有効性を発表したことで知られる。副鼻腔炎、花粉症、中耳炎など耳鼻科疾患全般の診療にあたるほか、アレルギー性鼻炎への手術療法、薬物療法をはじめとした研究にも積極的に取り組み、実績も豊富である。根拠に基づいた医療(EBM)、患者の負担の少ない治療をめざしている。

診療内容

副鼻腔炎は急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に分けられ、いわゆる蓄膿症とは慢性副鼻腔炎を指すことが多い。痛みはなく、症状として鼻漏、後鼻漏といった過分泌症状、さらには鼻閉、嗅覚障害、頭重感(頭が重苦しい感覚になる)などが見られることが多い。なかにはポリープ(鼻たけ)ができる場合もあり、ひどい鼻閉(鼻づまり)からくる不快感に長く悩まされるという。
副鼻腔炎心療に長年携わってきた菊地医師は、その治療について次のように語る「手術療法に関して言えば、以前は上顎洞の手術を行う際は歯茎の上部を切開していたので患者さんには大きな負担がかかっていました。現在は鼻内から細い内視鏡を使って行う内視鏡下副鼻腔手術が主流となり、ここ20年で治療技術が格段に進歩したと言えます。患者さんの負担が劇的に軽減されたのは大きな成果でしょう」
副鼻腔と鼻腔は小さな穴でつながっており、副鼻腔炎になるとその部分が詰まって炎症を起こし悪循環を繰り返してしまう。内視鏡下副鼻腔手術では鼻たけを除去することに加え、この詰まりを改善して副鼻腔との交通を良くし、膿がたまりにくいようにコントロールするものである。
一方、上記のような手術を行わない場合には薬物療法が用いられるが、現在の主流はマクロライド系抗生物質を服用する「マクロライド療法」である。これは「殺菌」ではなく、免疫を上げる作用(免疫賦活作用)があり、有用性が高い治療法とされる。少量の薬剤を3か月にわたって服用する少量長期服用療法の導入により、後鼻漏や鼻汁が劇的に減るのだという。薬剤としては以前はエリスロマイシンが中心であったが、現在はクラリスロマイシンが用いられている。さらに並行して痰や鼻水を出しやすくする薬剤(粘液溶解剤)も組み合わせて処方されることが多い。
1991年、慢性副鼻腔炎の治療としてマクロライド抗菌薬が効果があることを発表したのが菊地医師である。マクロライド療法の有用性がわかった経緯について菊地医師は次のように語る「元々、マクロライド療法は呼吸器の病気を治療することを目的として使われていたものです。死亡率の高いび慢性汎細気管支炎に対してマクロライド療法が効くとわかったのが1980年代の前半のこと。び慢性汎細気管支炎を持つ患者さんは慢性副鼻腔炎を合併していることが多いのですが、呼吸器疾患を治療していく過程のなかで、同時に副鼻腔炎も改善してくることがわかるようになりました」
現在ではマクロライド療法は副鼻腔炎の治療法としてすっかり定着した訳である。副鼻腔炎の症状を感じたら早めに耳鼻科専門医の診察を受け、有用な治療を受けるようにしたい。

医師プロフィール

1984年3月 東京医科歯科大学医学部 卒業
1984年4月 東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室入局、その後東京逓信病院主任医長、東京大学医学部講師などを経て、
2001年3月 埼玉医科大学 医学部総合医療センター耳鼻咽喉科 教授
2012年 埼玉医科大学総合医療センター 院長補佐