赤柴恒人 医師 (あかしばつねと)

志木呼吸器科クリニック

埼玉県志木市本町5-18-13 神山ビル1F

  • 院長

呼吸器科 内科

専門

COPD 慢性・急性呼吸不全 睡眠時無呼吸症候群(SAS:サス) 呼吸器内科学

赤柴恒人

赤柴恒人医師が睡眠分野の研究を始めるきっかけとなったのは、30年以上前に遭遇した重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者である。当時の日本では、まだSASに関する研究がほとんど行われておらず、診断・治療に大いに苦労したという。特にSASの治療については、有効な治療法が日本では報告されていなかったため、欧米で報告され始めていたnasal CPAP機器を直接米国から輸入して、最初の治療を行った。その効果は劇的であり、無呼吸はほぼ完全に是正された。この経験から以後ずーっとSAS医療に取り組むことになったという。nasal CPAP療法は、現在世界的に第一選択の治療法として確立している。
「しかし当初は健康保険の適応が受けられず患者さんに購入してもらっていました。その後の健康保険適応に我々の研究が役立ったと考えています」(赤柴医師)
近年では、これまでの成果を睡眠呼吸障害を持つ人に役立てようと「睡眠時無呼吸症候ガイド」というサイトを立ち上げ、病気の周知・理解にも貢献している。新幹線運転士の居眠り事件によりこの病気の認知度も広がったが、今でもSASの診断、治療を受けている人は一部に過ぎない。「今後もこの病気の重要性を周知させ適切な治療が受けられるような、環境を整備するための活動をしていきたいです」(赤柴医師)

診療内容

睡眠時無呼吸症候群(SAS:サス)は、睡眠中に上気道(喉の部分が)塞がることにより、呼吸が止まったり、浅く・弱くなり、その結果、酸素の不足をもたらす。低酸素状態は全ての臓器に悪影響を及ぼすが、特に循環系が大きな影響を受け命に関わる。
「SASが色々な循環器疾患と深い関わりがあることが明らかになってきています。特にSASが高血圧の原因となることが最近明らかになり、さらに心不全や脳卒中との関連も証明されています」(赤柴医師)
SASの多くは上気道(空気の通り道)が塞がる・狭くなる事が原因。無呼吸によって血液中の酸素が低下したり、度重なる中途覚醒が身体に悪影響を及ぼす。同時に睡眠を妨げ日中の眠気を増加させるという。SASの重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数で表す。これは1時間あたりの無呼吸・低呼吸(呼吸が浅く・弱くなる状態)の発生する回数。AHIが5回以上かつ日中の眠気等症状がある場合にSASと診断される。まずは専門医への相談と検査が必要である。
SASの治療として、口腔内装置による治療、手術による治療、CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)が挙げられる。個人の病状・状況により治療方法を選択することになる。CPAPは、CPAP装置から気道に空気を送り、常に圧をかけて気道が塞がらないようにする。これにより睡眠中の無呼吸やいびきが減少。SASの症状改善が期待される。またSASが原因で血圧が上昇している場合、降圧(血圧を下げる)効果も期待される。
「CPAP療法は、一定の基準を満たせば健康保険の適応になりますのでご相談ください」(赤柴医師)
CPAPは保険診療扱いで機械をレンタルして使うスタイルが主流。1か月あたり約5,000円程度。月に一回の受診が必要になる。このほかの治療法として、軽症の場合は「マウスピース」がある。夜寝るときにマウスピースを噛み、下あごを前進させた状態で固定。下あごを前に出してあげることで喉を広げ、無呼吸状態を起こりにくくする治療法だ。明らかに扁桃肥大が原因の場合は、扁桃腺をとる外科的手術もある。
これらの治療法と合わせて、生活習慣の改善も行うことも必要。ただし生活習慣のみの改善でSASを治療する事は難しいため、専門機関への相談が重要となろう。
「早期の治療は、成人病の予防等にも大変重要です」(赤柴医師)
同センターの外来では、問診(睡眠の状況)、身体測定や診察、鼻通気検査のほか、生活習慣病の有無など必要な項目を検査するよう治療計画を立てる。この場合、睡眠検査が必要となり、簡易検査やポリソムノグラフィ検査を行う。ポリソムノグラフィ(PSG)検査(精密検査)は入院によって脳波や心電図等の変化を調べる。睡眠中の異常呼吸だけでなく、睡眠の量や質(睡眠の深度や分断の程度)、不整脈の有無などもわかる。睡眠潜時反復検査(Multiple Sleep Latency Test)は、昼間の眠気を客観的に検査する方法。検査前の睡眠日誌などを参考にしながら、ポリソムノグラフィ検査を行う。この精密検査法を用いながら、2時間間隔で計4回以上の睡眠潜時(眠るまでの時間)を測定する。
「どの検査もセンサを装着するだけなので痛みなどありません。適正な判断をくだすため、このような検査は必要不可欠です」(赤柴医師)

医師プロフィール

1975年 日本大学医学部卒業 第一内科学教室入局
1985~1986年 米国Washington大学付属Harborview Medical Center留学
1987年 日本大学医学部付属板橋病院呼吸機能室室長
1988~1989年 国立立川病院呼吸器科医長
1989年 日本大学医学部付属板橋病院呼吸機能室室長
1994年 日本大学医学部第一内科講師
1997年 日本大学医学部第一内科助教授(現日本大学呼吸器内科学講座)
2000年 日本大学医学部付属板橋病院呼吸器科部長
2007年 日本大学医学部付属板橋病院睡眠センター長
2007年 日本大学医学部睡眠学・呼吸器内科教授
2015年 医療法人社団 博翔会 志木呼吸器科クリニック 院長