繁田雅弘 医師 (しげたまさひろ)

東京慈恵会医科大学附属病院

東京都港区西新橋3-19-18

  • 精神神経科、メモリークリニック
  • 診療部長 教授

精神科 神経科

専門

老年精神医学、臨床精神医学

繁田雅弘

繁田雅弘医師の専門はアルツハイマー病などの認知症疾患。症状よりも「人」を診ることをモットーとし、問診を重視した診療を行っている。同院の精神神経科で初診や物忘れ外来(メモリークリニック)を担当するほか、同大学精神医学講座では、後進育成、地域医療への貢献、メンタルヘルスに関する発信にも積極的に取り組んでいる。

診療内容

認知症を診療する際、繁田医師が重視するのは「問診」である。ウェクスラー記憶検査(WMS-R)やADAS
(エイダス Alzheimer's Disease Assessment Scale)によって認知機能の程度も調べ、問診とあわせて認知症かどうかを診断していく。MRI、CTのような画像診断は、どのタイプの認知症なのかを把握するために行うこともあるが、診療の主体は、患者としっかり向き合って話を聞く問診であるという。

治療に際しては、状況に応じて薬を処方することもあるが、それ以上に繁田医師が重視するのは、生活改善が第一だ。偏った食事や不規則な睡眠を改善しなければ、いくら薬を使っても効果が得にくいからだ。さらに、「本人が楽しく、そして長く続けられる趣味を持っておくこと」も、繁田医師が強く推奨するポイントの1つである。

「平均寿命が延びた現在、認知症はすべての人に起こりうる病気です。避けられないのだとしたら、いかに認知症に歯止めをかけるかに必死になるより、認知症があっても楽しく暮らしていける方法を考えるべきです。本人が何をして生きたいかが明確になっていれば、介護を予防できるかもしれないし、重症化も予防できるかもしれません。『いつかは自分も認知症になるかもしれない』という前提で、そうなる前から無理なく続けられる趣味を持っておいてはいかがでしょうか」(繁田医師)

近年は、「脳トレ」と称して脳を鍛えるドリルやゲームに関する情報が溢れているが、繁田医師は、この脳トレブームについて、押し付け過ぎないことが大切だと警告する。

「少しでも良くなってほしいと思って脳トレを勧めるご家族の気持ちは分かります。でも、本人が興味を持って楽しく取り組むなら構いませんが、無理に勧めるとかえってストレスかかる恐れがあります。そうなると認知症が進みかねないので、注意が必要です。ある患者さんは、10~20年で、認知症の進行スピードが半分か3分の1くらいに低下しました。本人できないことを無理にさせず、かといって過保護にしすぎず、という対応の結果、認知症の進行が遅くなったのです。認知症の人に対しては、『○○は無理でしょう?』と過小評価するのではなく、かといって、『○○はできるでしょう?』と過大評価もしない対応が求められます」(繁田医師)

認知症に気づいたら、物忘れ外来を受診するのがスタンダードな流れだ。最近では、自分で「もしかして認知症?」と心配し、1人で受診する人もかなり増えているという。しかし、家族が気づいても、本人が受診を拒む場合は、「脳トレ同様、無理にだましてまで受診させない方がいいのでは」と繁田医師は話す。家族に認知症を疑いがあると、嘘をついたり、孫から言わせたり、と陰で画策することを考えがちだが、そうではなく、心から心配している気持ちを正直に話すことが欠かせないのだという。要は、家族主体ではなく、本人主体で考えていくことが大切だ。いきなり病院に行くのに抵抗があるなら、まずは近隣のオレンジカフェ(認知症カフェ)に足を運び、体験者の話を聞いてみてもいいのでは、と繁田医師は勧める。

医師プロフィール

1983年 東京慈恵会医科大学医学部卒業
1992~1995年 スウェーデン・カロリンスカ研究所 老年病学教室 研究員
1995年 東京慈恵会医科大学精神医学教室 講師
2003~2004年 東京都立保健科学大学 教授
2005年 首都大学東京 健康福祉学部 教授
2005~2010年 首都大学東京 健康福祉学部 学部長
2006年 首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 教授
2006~2010年 首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 研究科長
2011~2014年 首都大学東京 副学長
2017年 東京慈恵会医科大学 精神医学講座教授

「認知症」を専門とする医師