周藤高 医師 (しゅうとうたかし)

労働者健康安全機構 横浜労災病院

神奈川県横浜市港北区小机町3211

  • 脳定位放射線治療センター長
  • 副院長
  • 脳神経外科部長

外科 脳神経外科

専門

ガンマナイフをはじめとする脳定位放射線治療、脳神経外科手術(頭蓋底腫瘍,聴神経腫瘍や髄膜腫などの良性腫瘍,脳血管障害)

周藤高

外科医は外科手術だけを行うのが一般的だが、周藤医師は脳神経外科手術だけでなく、ガンマナイフなどの定位放射線治療の両面からもアプローチする数少ない医師として知られる。周藤医師が治療にあたる機会の多い病気の1つが、脳腫瘍だ。
「良性の脳腫瘍の代表である『髄膜腫』でも悪性や異形成の場合がありますが、頻度はそう多くありません。多くの髄膜腫は生命を落とすことが少なく、症状がなければ経過観察となることもよくあります。状況によっては手術で腫瘍を取り除いたり放射線治療を行ったりしますが、髄膜腫は完治が期待できるのが特徴です。一方、悪性腫瘍の代表、『神経膠腫』は、グレード4になると5年生存率が8%程度と低くなります。可能な限り手術を行うのが原則ですが、悪性腫瘍は周囲に浸潤しやすく、すべて切除するのは困難です。手術後は放射線治療や化学療法、分子標的薬などによってフォローする必要があります」(周藤医師)
周藤医師は手術に際し、合併症を起こさない範囲で腫瘍をできるだけ摘出する徹底的な手術をめざす。その上で、必要に応じて放射線などによる治療も並行していくという。放射線はピンポイントで照射するのに向くガンマナイフ、広範囲に複数回照射するノバリス、その中間のようなサイバーナイフなどがあるが、周藤医師がよく用いるのはガンマナイフとノバリスだ。定位放射線治療は「切らずに治すピンポイント治療」であり、開頭手術に比べると患者さんの負担が少なくて済むのが大きな利点だという。
 「放射線治療は、腫瘍細胞のDNAや、腫瘍の中の血管にダメージを与えて腫瘍を小さくする治療です。ガンマナイフはピンで固定して患者さんが動かない状態で放射線を当てますが、ノバリスやサイバーナイフは専用のマスクで固定するだけです。でも、現在はガンマナイフでもマスク固定によって治療する装置が出てきました。放射線治療はここ30年で大きく進化していますし、抗がん剤や分子標的薬もさらに進歩する可能性があります」(周藤医師)
 良性の脳腫瘍は進行が遅く症状もなかなか現れないのに対し、悪性の脳腫瘍は急速に進み、症状が出るころにはグレードⅣに至っていることも少なくない。脳腫瘍では起床時の頭痛や、吐き気、めまいなどのありふれた症状が多いが、いつもと違う異変を感じたら、ためらわずに速やかに医療機関を受診してほしい。

診療を受けるには

脳神経外科は紹介状が必要。予約制であるため、予約センターで原則2日前までに予約を取った上で受診すること(休日を挟む場合は2診療日前まで)

医師プロフィール

1989年 佐賀医科大学医学部卒業
1989年 横浜市立大学医学部附属病院研修医
1991年 横浜市立大学医学部脳神経外科助手
1992年 神奈川県立こども医療センター脳神経外科
1993年 横浜労災病院脳神経外科
1995年 小田原市立病院脳神経外科
1996年 横浜市立大学救命救急センター
1997年 横浜市立大学医学部脳神経外科助手
2001年 横浜労災病院脳神経外科医長
2004年 横浜労災病院脳神経外科副部長
2006年 横浜市立大学医学部医学科非常勤講師
2008年 横浜労災病院脳神経外科 部長
2020年 横浜労災病院 副院長

所属学会

医学博士、日本脳神経外科学会専門医・代議員・指導医、日本脳卒中の外科学会・技術指導医、日本脳卒中学会専門医・指導医、日本定位放射線治療学会・世話人、日本ガンマナイフ学会・理事長・QA委員長(2013-2015年会長)、ガンマナイフ治療計画勉強会・世話人、日本放射線外科学会・世話人、明日のガンマナイフを担う会・顧問、The Asian Leksell Gamma Knife Society board member、関東脳神経外科懇話会・幹事、神奈川脳神経外科集談会・世話人、神奈川脳神経外科手術手技研究会・世話人、神奈川脳神経科医会・世話人、日本職業・災害医学会・評議員・査読委員、日本臨床倫理学会(上級臨床倫理認定士)

【受賞】
・労働者健康福祉機構 2007年優秀論文賞「放射線抵抗性腫瘍である腎癌脳転移に対するガンマナイフを用いた腫瘍制御に関する研究」2007
・労働者健康福祉機構 2011年優秀論文賞「腎癌脳転移に対する治療戦略の臨床的研究」2011
・Best Doctors in Japan 2012-2013
・Best Doctors in Japan 2014-2015
・Best Doctors in Japan 2016-2017
・Best Doctors in Japan 2018-2019
・Best Doctors in Japan 2020-2021
・Best Doctors in Japan 2022-2023

主な著書

01:周藤 高,他.脳脊髄の腫瘍,外傷,奇形,脊椎異常.内科臨床リファレンスブック 疾患編I 94-104 1998,中山書店
02:周藤 高,他.先天奇形 内科学エッセンス. 西元寺克禮,山本紘子編. 朝倉書店 281-285,1999
03:周藤 高,他.脳腫瘍 内科学エッセンス. 西元寺克禮,山本紘子編. 朝倉書店 286-292,1999
04:周藤 高,他.患側大脳半球萎縮を伴う大脳基底核・視床部germinoma 眼で見る神経内科 53 (suppl.2),146-147,2000
05:周藤 高,山本勇夫:頸部内頚動脈狭窄症への抗血小板薬・抗凝固薬.臨床成人病 31,907-911,2001
06:Shuto T,他.Gamma knife radiosurgery for metastatic brain tumors in "Brain Cancer Therapy and Surgical Interventions" edited by Andrew V Yang, P113-P125 Nova Science Publishers Inc.2006
07:周藤 高:教育に主眼をおいた野戦病院脳神経外科を目指して.脳神経外科速報 19:1205-1207, 2009
08:周藤 高,他.膠芽腫に対するガンマナイフ治療の役割.癌と化学療法 37:1024-1026, 2010
09:周藤 高:聴神経腫瘍.Textbook of Radiosurgery. 井上 洋編. メディカ出版 132-137, 2012.
10:周藤 高:転移性脳腫瘍の治療 -腎癌脳転移を中心に-.泌尿器外科 25(臨増): 857-860, 2012.
11:周藤 高:腎癌脳転移に対するガンマナイフ治療前後にsunitinibやsorafenibは一時中止する必要があるか?泌尿器外科 26(別冊): 76-77, 2013.
12:周藤 高:転移巣に対する治療戦略―脳転移―.Year Book of RCC 2013 :55-64, 2013,メディカルレビュー社.
13:周藤 高:脳転移を伴う腎細胞癌治療の実際.RCC INSIGHT 2-7, 2015,メディカルレビュー社.
14:周藤 高:聴神経腫瘍診療のNew Concept:放射線治療.耳喉頭頸 88:1026-1030, 2016,医学書院.
15:周藤 高:dAVFの定位放射線治療.Clinical Neuroscience 35:1214-1215, 2017,中外医学社
16:周藤 高:転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療.臨床泌尿器科 71:1101-1105, 2017,医学書院.
17:周藤 高:定位放射線治療.脳神経外科レビュー 新井一,齋藤延人,若林俊彦監修 310-315, 2019,総合医学社
18:周藤 高:水頭症患者に対する手術後に感染症対策を怠った過失や不全硬膜閉鎖下に複数ドレーンを挿入した過失等があるとして損害賠償を求めた事例.comment of specialist.医療判例解説 88:113-117, 2020,医事法令社
19:周藤 高:定位放射線治療(ノバリス).Clinical Neuroscience 39:458-460, 2021,中外医学社
20:周藤 高:Xナイフ.Clinical Neuroscience 39:1357-1359, 2021,中外医学社
21:周藤 高:椎骨動脈脳動脈瘤クリッピング術後に患者が死亡したことにつき,医師に説明義務違反,術後管理義務違反があったとして損害賠償を求めた事例.医療判例解説 95:53-93, 2021,医事法令社
22:周藤 高:定位放射線治療.脳神経外科レビュー 新井一,齋藤延人,若林俊彦監修 343-348,2022,総合医学社
23:周藤 高:患者(勤務医)の病変を脳膿瘍疑いが高いと診断,直ちに抗菌薬投与や穿刺排膿術を施行する義務を怠った過失があったとして損害賠償を求めた事例.医療判例解説 101:2-23, 2022,医事法令社
24:周藤 高:腎癌脳転移に対する局所治療.泌尿器外科 36:113-118, 2023,医学図書出版
(更新日:2024年4月2日)

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