村山雄一 医師 (むらやまゆういち)

東京慈恵会医科大学附属病院

東京都港区西新橋3-19-18

  • 脳血管内治療部 脳神経外科
  • 診療部長 主任教授

脳神経外科 外科

専門

脳血管内治療
脳動脈瘤(破裂、未破裂)、脳動静脈奇形、硬膜動静脈奇形、脊髄動静脈奇形に対する塞栓術、急性期の脳梗塞、頸動脈および頭蓋内狭窄症に対する血管形成術、ステント留置術など

村山雄一

村山雄一医師は、未破裂動脈瘤治療の名手だが、秀でているのはコイル塞栓の腕前だけではない。世界初の生体反応性を高めた塞栓用コイル=マトリックスコイル、スマートフォンを利用して脳卒中の救急医療をサポートする遠隔画像診断治療補助システムなど、村山雄一医師のアイデアから画期的な発明が次々と生まれている。当然手術室も、最先端の設備が整えられているが「不要な手術を減らすのが最大の関心事」と語り、もっか治療の要不要を見極める診断ソフトを開発中。世界の脳卒中医療を進化させるキーマンだ。最近はスポーツ神経外傷の予防にも力を入れている。

診療内容

東京慈恵医大病院の年季が入った建物の一室に、村山雄一医師を訪ねた。
壁に向って7~8台のパソコンが並び、若いスタッフが真剣な面持ちで画面に向かっているその部屋は、いわば日本のシリコンバレーだ。
世界初の生体反応性を高めた塞栓用コイル=マトリックスコイルも、スマートフォンを利用して脳卒中の救急医療をサポートする遠隔画像診断治療補助システム「i-JOIN(ジョイン)」も、村山医師のアイデアをもとに、この部屋から生まれた。
ちなみにマトリックスコイルは「術後1年ぐらい経つと、コイルを詰めた瘤の中に隙間ができ、再治療が必要になるケースが一定の確立で起きる」というコイル塞栓術のデメリット解消をめざして開発された。表面にポリマーを塗ってあり、時間とともにこれが溶けて瘤の隙間を埋めていくこのコイルを加えて使うことで、再発率は「半減」したという。
一方「i-Stroke(アイストローク)」は、脳卒中を発症した患者が搬送された病院から、院外にいる専門医が持つスマートフォンに患者の検査画像や診療情報を送信し、脳卒中発症時の治療に必要な処置情報をやりとりすることで、病院内での診断や治療をサポートするシステム。「時間との勝負」と言われる脳卒中医療にとって、強力な助けになるだろう。
これはらいずれも、村山医師と企業との共同研究によって開発された。
最も重篤な脳卒中の大半を占める「くも膜下出血」のもととなる未破裂動脈瘤治療の名手として知られる村山医師は、類まれなアイデアマンであり、強力なリーダーシップの持ち主でもあるのだ。
「自分ですべてできる必要はありません。僕はパソコンすらつなげませんから(笑)。ただ、こうしたらいいんじゃないかというアイデアと、それぞれの分野の才能を持った人たちが集まる環境を作ればいいんです」
現在の最大の関心事は、未破裂動脈瘤の不要な治療を減らすこと。日々、外科治療を行うかたわら、血管が狭くなった部位や脳動脈瘤の血流をコンピュータで解析を進め、それぞれの瘤の破裂の危険性を見極める診断ソフトを開発。その結果、同院では、手術をせずに、半年から1年間隔の定期検査だけで済んでいる患者が「6割」を占めるまでになった。
「患者さんにとって一番いいのは、治療をやらずに済むことです。僕らはそこを目指しています。150件やっている手術が10件でいいですよということになったら、他の病院からは余計なことをするなっていわれるかもしれませんが」
コイル塞栓術の登場で、従来の開頭手術はもはや治療の第一選択肢ではなくなった。
今後は、村山医師自らが開発した診断ソフトの進歩によって、コイル塞栓術すら、最低限しか行われなくなる未来が来るだろう。
「不要な治療を減らすのと同時にめざしているのは、より安全性の高い治療法の開発です。リスクがゼロなら、みんな治療したくなるでしょ」
革新への熱意は冷める気配がない。これからも、世界の脳卒中医療を進化させるキーマンであり続けるに違いない。

医師プロフィール

1989年3月 東京慈恵会医科大学卒業
1989年6月 慈恵医大付属病院研修医
1991年6月 同脳神経外科学教室助手
1995年1月 カリフォルニア大学 ロサンゼルス校脳血管内治療部留学
1996年9月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部助教授step I
2000年1月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校放射線研究センター、センター長
2001年7月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部 准教授 step I
2002年12月 慈恵医大脳神経外科 助手
2003年3月 慈恵医大脳神経外科 講師
2003年9月~現在 東京慈恵会医科大学 脳血管内治療部 診療部長
2004年1月~現在 東京慈恵会医科大学 脳神経外科 特任教授
2004年4月~2009年3月 早稲田大学理工学総合研究センター客員教授
2004年7月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部教授 (StepI)
2010年4月 東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座 教授 (定員外)
2011年7月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部教授(StepII)
2013年4月 東京慈恵会医科大学脳神経外科講座主任教授
2016年 東京慈恵会医科大学 脳卒中センター長

「脳卒中」を専門とする医師