篠原幸人 医師 (しのはらゆきと)

立川病院

東京都立川市錦町4-2-22

  • 神経内科
  • 顧問(前院長)

内科 神経内科 総合診療科

専門

脳卒中、パーキンソン病、もの忘れ(認知症)、神経難病、原因不明の頭痛、めまい、脳ドック、人間ドック

篠原幸人

篠原幸人医師は、45年以上、脳卒中の患者に向き合い、数多くの臨床経験を積んできたことから、日本人特有の脳卒中に対する予防・診断・治療に詳しい。日本脳卒中学会前理事長、アジア大洋州脳卒中学会前理事長、脳卒中合同ガイドライン委員会委員長など、この分野の重要ポストを歴任。定期的に立川病院にて市民公開講座を開催、脳梗塞や脳出血に関する著書を出版するなど、周知活動にも積極的にかかわっている。人の心を大切にし、質の高い、思いやりのある、患者の目線に立った医療を実践している。2013年4月より院長業務から開放され、顧問として従来通り、外来など診療業務を続ける。他に週1回東京代々木の東海大学医学部付属東京病院でも外来を持ち、また2016年6月からは人間ドック学会の知事長も務めている。

診療内容

「脳卒中は1960年代の死亡率ナンバーワンだった時代から、現在は4位にまで後退していますが、突然起こる病気としては欧米では心筋梗塞、日本では脳卒中の方が多いという傾向があります」そう語るのは、脳卒中治療ガイドラインの作成にも携わる篠原医師だ。この病気に詳しい篠原医師に、脳卒中の現在をうかがってみた。
「実は近年、脳卒中のパターンが変わってきたのです。以前は脳出血が多かったのですが、次第に脳梗塞が増えてきました。1970年代半ばからは、脳梗塞が脳出血を上回っています。ちなみに脳卒中の通院患者数はおよそ140万人から150万人ですが、通院していない人を含めると、数はもっと多いことは確かです」。
では、なぜ脳卒中のパターンが変わってきたのだろうか。篠原医師によれば、塩分の摂取量が減ってきたことと、脳卒中の原因のひとつである高血圧に対する治療が進歩している結果だという。脳出血にかわって増えてきた脳梗塞。これにも、動脈硬化が原因で血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞と、心筋梗塞や心房細動でできた血栓が脳へ飛んで血管を詰まらせる心原性脳塞栓症、さらには脳の細小血管が詰まるラクナ梗塞の3種類あるのだと篠原医師は言う。
「実は脳梗塞の内容にも変化があり、最近はアテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症が増え、ラクナ梗塞は減っています。ラクナ梗塞の最大要因は高血圧であり、アテローム血栓性脳梗塞の要因は高血圧以外にも脂質異常や糖尿病、喫煙などがあるからです。つまり、生活習慣の変化があきらかに脳卒中の病型にも影響を与えているということです」。
時代の変遷が病型も変える。脳卒中はその代表のような疾患だという。では、脳卒中で倒れてしまった場合、実際の治療はどのような手順で進むのだろう。
「予防が勿論一番大切ですが、万一発作がおこったら、まずはそれが脳卒中であるかどうかを大至急判断します。発作時の状況や症状、家族や本人の病歴などを聞いたり、できるだけ早くCT検査やMRI検査をおこない、診断を確定します。そして必要な場合は手術を、大部分の場合は全身管理や血栓を溶かすなど内科的治療をおこないます。脳卒中の中で、すぐに手術が必要なケースはあまりありません。すぐに手術をおこなう必要があるものは、くも膜下出血の場合が多いですね。この場合は脳動脈に管を入れてそこに詰め物をしたり、動脈瘤が再び破裂しないようにクリップをかけたりします」。
脳梗塞では、必要がある場合は血管に詰まった血のかたまりを溶かしたりとり出すこともあるという。では内科的治療とはどのようなものをさすのか。「こちらは血圧を正常に維持し、呼吸を管理し、心臓の状態を正常に保ち、感染を防ぐと同時に、点滴で血栓を溶かしたり、脳にそれ以上ダメージを与えないようにする薬を使ったりするものです。そして、なるべく早期にリハビリを開始します。なぜなら、早く始めたほうが、機能の回復が望めるからです。ですから、早い場合には脳卒中発作が起きた当日からリハビリを始めることもあります」。
篠原医師によれば、医療の進歩で発症直後の死亡率は下がってきたとはいえ、脳卒中はまだまだ怖い病気であり、今も多くの患者が何らかの後遺症を抱えながら自宅や施設でリハビリをしているという。普段の生活改善によりかなり危険因子を取り除くことができるため、特に中年以上の世代は食生活や運動など、生活習慣を見なおして欲しいと語る。

医師プロフィール

1963年3月 慶応義塾大学医学部 卒業
1964年4月 聖路加国際病院インターン後、慶応義塾大学医学部大学院入学、
1967年7月~1970年 米国デトロイト・ウェイン州立大学、ヒューストン・ベイラー医科大学留学
1970年4月 慶応義塾大学医学部内科学教室に戻る
1974年5月 慶応義塾大学内科医長
1976年6月 東海大学医学部神経内科科長
1983年4月 東海大学医学部神経内科教授・科長
1997年4月 東海大学医学部付属東京病院院長兼任
2002年4月 東海大学伊勢原病院副院長兼任
2003年~2009年 日本脳卒中学会理事長
2004年 東海大学東京病院 脳卒中・神経センター長・東海大学特任教授
2006年4月 国家公務員共済組合連合会 立川病院院長
2007年 東海大学名誉教授
2009年~2011年 アジア太洋州脳卒中学会理事長
2013年4月 国家公務員共済組合連合会 顧問、同 立川病院 顧問
2016年6月 日本人間ドック学会理事長

「脳卒中」を専門とする医師