弛緩出血〔しかんしゅっけつ〕 家庭の医学

 胎盤娩出(べんしゅつ)後に子宮の収縮がわるいと出血がいつまでも続くことがあり、これを弛緩出血といいます。巨大児や多胎妊娠、肥満妊婦などに起こりやすいとされます。出血が多量に及ぶと血圧が下がりショック状態となり、輸血が必要となることもあります。子宮収縮薬を点滴したり、医師が片手を腟内に入れ、もういっぽうの手を妊婦の腹壁に当てて、両手で子宮を挟むようにして圧迫したり、子宮のマッサージをおこなったりして、子宮の収縮を促します。収縮不全が強いときは、子宮収縮剤を直接子宮筋に注射することもあります。それでも出血が継続するときは、子宮内に風船のようにふくらむバルーンカテーテルを腟から挿入してふくらませ、子宮の内側から圧迫して止血(子宮内バルーンタンポナーデ)することもあります。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子
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