田中温 医師 (たなかあつし)

セントマザー産婦人科医院

福岡県北九州市八幡西区折尾4-9-12

  • 産婦人科
  • 院長

産婦人科 婦人科

専門

不妊症治療・産科・婦人科

田中温

院長の田中温医師は1985年、国内で初めてギフト法(受精前の卵子と精子とを一緒に卵管内に戻す体外受精)による妊娠・出産に成功した、高度生殖医療の第一人者。特に、難治性高齢者不妊(高齢卵子)の治療においての実績があり、不妊症の福音ともいえるさまざまな治療法を確立してきた。無精子症治療をはじめとする、様々な男性不妊症の治療においても精子細胞を用いた顕微授精で継続的な実績をあげており、海外でも高い評価を得ている。現在は晩婚化に伴う卵子の老化を救う為の卵細胞質置換(卵子の若返り法)を、臨床への応用を目指して研究を続けている。

診療内容

田中医師が順天堂大学の産婦人科に入局した1976年は日本全体でも不妊治療の研究は行っているところはあまりなく、治療で妊娠にたどり着くケースはほとんどなかったという。1978年にイギリスの生理学者が世界初の体外受精を成功させたことが大きな転機となり、田中医師は1983年から本格的に不妊治療の研究を始める。当時、1~2%程度だった体外受精の妊娠率を卵管内精子卵子注入法・GIFT法の開発に成功し、その後、新GIFT法、新ZIFT法などにより、妊娠率は30~40%と飛躍的に伸ばすことが可能となった。
体外受精などの高度生殖医療へのステップアップは、治療費も保険外で高額であり、卵子を体外に取り出すための採卵手術など、女性の負担がとても大きくなる。しかし、体外受精を試すことにより、これまでの検査ではわからなかった新たな原因が見つかることもあり、妊娠の可能性も高まる。
セントマザー産婦人科医院では、下記のような場合に高度生殖医療をすすめているという。
・女性が40歳以上の場合
・人工授精を6回以上繰り返して、結果が出ていない場合
・女性の両卵管閉塞、または、卵管の周囲に癒着があり、卵子を卵管に取り込めないと予想される場合
・男性の精子の状態(運動率など)が悪く、人工授精で結果を出すことが難しい場合
・男性が無精子症で、精子細胞での治療になる場合
高度生殖医療(体外受精、顕微授精、ギフト・ジフト法)は、1.排卵誘発→2.採卵→3.受精→4.戻しの4つの過程が必要となる。
1.卵子をつくる(排卵誘発)…排卵誘発に関しては、薬を使わない方法から注射を利用する方法など、10数種類の誘発方法がある。通常は、10個前後の卵子の採取を目標に、卵胞を育てていく。
2.卵子を体外に採りだす(採卵)…採卵は一番細い針を使い、麻酔をかけて行うため、痛みの心配はほとんどない。(採卵数が少ない場合、麻酔なしの採卵も行うこと可能)
3.卵子と精子の出会い(受精)
●体外受精(IVF)… 採卵して、身体の外に取り出した卵子に精子をかけ、受精させる。精子は、凍結・融解したもの、または、採卵日当日に採精いただいたもの(新鮮精子)と、どちらでもよい。受精を確認して、受精卵を子宮の中に戻す。
●顕微授精(ICSI)… 精子(凍結・融解、新鮮精子)の中から元気のいいものを選び、採卵した卵子の中に細いチューブでいれて、授精させる方法。卵子の外側が硬いなどの理由で、なかなか受精できない場合や、精子がわずかしか採れない場合に有効。特に高齢女性の卵子の場合に行う場合がある。また、精子の状態が良くない場合にも(精子細胞など)この方法で、授精させる。
●ギフト法(GIFT)・ジフト法(ZIFT)… 体外受精、または顕微授精の技術を用いて、受精卵を作り、より自然に近い妊娠状態を作れるように、卵管へ直接戻す方法。現在では、顕微授精を行って、受精の可能性を高くしてから戻す方法もとられることが多い。麻酔下での手術のため、一泊入院が必要。ギフトの場合は採卵当日、ジフトの場合は採卵翌日の手術となる。これらの方法が適応できるのは、複数個の良好な卵子がとれ、卵管の閉塞がなく、子宮内膜が良好な厚さ(8mm以上)になっている場合。この方法での妊娠率は、体外受精、顕微授精より高い。
4.受精卵を子宮に戻す(戻し)…体外受精、顕微授精とも、採卵2日後(採卵日を0日として計算)に、子宮内膜の厚さなどを内診し、受精卵の状態とあわせて検討して、戻す方法を決める。子宮内膜の状態を見て、別周期に戻した方がいいと判断された場合には凍結し、自然周期またはホルモン補充周期に、凍結受精卵を戻す。
精液中に精子が見つからなかったなど、重度の男性不妊は、手術で、精巣上体および精巣内から、精子または精子細胞を探し、顕微授精で妊娠につなげることができる。同院の精子・精子細胞回収は、顕微鏡下に精巣を観察し、より高い確率で、精子または精子細胞を発見できる方法で行っている。他院で発見できなかった場合でも、見つけることができる場合がある。
女性の年齢が40歳以上の場合、卵子の老化も加わり、妊娠率が大幅に下がる。セントマザー産婦人科医院では、加齢により硬くなった卵の殻(透明帯)を一部カットして孵化しやすくするAssisted Hatching (アシステッドハッチング)といった技術や、卵管内に移植するGIFT法やZIFT法など、高齢女性に有効な治療方法も行っている。同院を最後の砦として、来院する患者が多いため、20~30%は高齢女性であり、妊娠・出産されている方も多い。田中医師によると、基礎体温が二相性となり、月経周期も規則正しいのであれば、高齢女性でもまだチャンスはあるという。
子宮内膜が薄い、良好な卵子が採れないなどが主な原因で、高度生殖医療を繰り返しても、なかなか妊娠できないという場合は、2~4細胞で戻さずに、より長く培養して、分割が進んだ状態で身体に戻す方法や、受精卵を凍結して違う周期に戻すなど、他の技術とも合わせて、より高い可能性を目指す。また、卵の質は排卵誘発法にも左右されるため、良好な卵子が採れない場合は、使用する薬剤の組み合わせを再検討する。誘発しても発育する卵胞数が少なく、採取された卵子の質が悪い場合には、どの方法を用いても成功率は低くなる。しかし、こういった場合でも、どちらかの卵管が貫通しており、子宮内膜が8mm以上あれば、GIFT法やZIFT法などで妊娠の可能性を探る。排卵誘発法(10数種類の誘発方法の中から患者に合う誘発法を選ぶ)や受精卵の培養の方法、戻し方など、患者ひとりひとりにあったオーダーメイドの治療を提供している。
また、無精子症の患者に対して円形精子細胞を用いた顕微授精の臨床を実施している。
残念ながら、採卵できなかった、未成熟卵であった、受精できなかったなどの理由で、戻しができない場合など、心のケアが必要な患者を対象に「アロマテラピーハンドマッサージ」を無料で行っている。担当看護師と話しながら、リラックスして、少しでも治療のストレスを軽減するよう、患者の身なって治療を応援している。
「年間1万人、100人に1人が高度生殖医療の助けをかりて生まれてくる現在、10組に1組という、子供のいない夫婦にとって、高度生殖医療は、大きな希望のひとつであるのはまちがいありません」(田中医師)

医師プロフィール

1976年3月 順天堂大学医学部 卒業
1976年4月 順天堂大学医学部産婦人科教室 入局
1978年4月 順天堂大学医学部産婦人科大学院 入学
1982年4月 順天堂大学医学部第一病理学教室 入局
1983年7月 越谷市立病院産婦人科 医長
1990年4月 セントマザー産婦人科医院 院長